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36:香典を当てにした葬式はするな

葬式のイロハを葬儀屋勤務で学んだ人は当り前だと思ってるらしいが、家族目線だけを貫き千数百件の施行に携わって15年、今の葬式は葬儀屋と寺の利益ばかりを考えた葬式で全ての能書きは『売上を上げたい為の常套手段』にしか聞こえず、葬儀屋が口にする代表的な言葉が『一般葬なら香典収入があるから自腹は減るし会葬者が多ければ黒字になることだってあります』という類の言葉は素直に頷けない自分がいる。

家族の事を考えてアドバイスでもしてると思い込んでる葬儀屋も多く、当たり前のように言う葬儀屋に聞いてみたい。あんた本気で『葬式とはなんぞや』と考えたこと無いだろう? 過去の慣習が正しいと思い込んでるんだろうけど、自分の言った言葉の持つ意味をよく考えれば変だと気づく人もいるんじゃねぇかな。

・自分で出す葬式代を減らす事が葬式をする目的なの? 
・火葬者が多ければ黒字になる!?葬式は商売ですか?

葬儀屋からすれば香典返しが沢山出れば利益が増え、葬式の中でも一番美味しい部分なのは分るけど、その誘導商法に乗った挙句に葬式代が高過ぎると不満タラタラ言うのは家族なのだから、どんな葬式をして、どのくらいの費用でと、残る家族の生活に支障が出ない葬式を前もって考えておくべきだろう。この点での葬儀屋は商売だから別に悪いことをしてる訳じゃない。

最近の葬儀屋の中には『葬式代が出る保険加入を勧めるらしい』けど、葬式代が出る保険に入る家族って葬式代が負担になる家族だろ!? その家族に葬式代の保険金を払わせるって根本的に間違ってねぇか!? 小規模で質素で良いから低額の葬式プランを創り出すとか、とにかく『葬式代を下げる工夫が先じゃねぇ?』価値観は個々に違うから馬鹿っ高い葬式プランがあっても構わないけど、逝去前に掛かる医療費や施設費用などで余裕の無い家族でも葬式後の生活が守ってあげられる葬式設定は絶対に必要だろう。

金の無い家族は当社の対象外という葬儀屋なら納得だけど、それなら葬式代の出る保険に加入させる必要ないだろ。結局は葬式代を高値安定させ続けられる対策のひとつだろうな、互助会の積み立て、葬儀屋の数十万円事前支払いさえ利用時は低料金に見せかけてたがを掛ける商法と同じ、手を変え、品を変えた葬式獲得戦略なのでしょう。

ついでに解約時の返金について簡単に書くと大阪高裁では引き落とし手数料1回60円、通知等の年間費用15円だから年間735円以外は返却するよう命じた経緯もあるから解約手数料20%は高過ぎると思って良い。こんな事してるから葬儀屋は胡散臭いって言われるんだよ。

『葬式の本来あるべき姿』

葬式(人の死)は宗教が始まる以前、人類が誕生した時から始まったのだからそもそもが宗教儀式でなく、ともに生活してきた家族や仲間とのお別れと死体処理だろう。医療が発達し終幕予想ができる今の時代に置き換えると、『存命中に行うべき別れを受け入れる為の時間』『死後に行う死体処理』の2つの段階に分けられる。

『存命中にしか出来ないお別れ』

お別れとは心の、気持ちの問題、意識があり、思考力がある段階で無ければ意味はなく、ともに生きてきた家族達、ともに成長してきた友人達と今生の別れが来るのを自覚し感謝を伝え未練を減らすのが存命中の別れだろう。

実際は対象者によって受け入れ時間は違い、1日で受け入れできる相手もいれば、数か月、数年必要な相手もいるだろうし、逝去後も引きずるほど辛い別れだってあるだろうが、別れは存命中が基本、出来れば意思の疎通ができる段階で、自分の中でお別れが受け入れられるまで何度でも繰り返すことが後悔を残さない唯一の方法だろうと思う。

自分が対象者なら誰とお別れしたいか考えれば、終幕後に呼ぶべき相手は自ずと決まるだろうし実際は「家族」「親族」「仲間」「友人知人」の中でも自分や家族と親交の深かった人達だけだろう。逆を言えば親戚、もっと言えば例え家族だったとしても普段の付き合いが全く無く、対象者の希望も無ければ呼ぶ必要の無い人物だと思う。

『通夜をすれば葬式の時間に来られない人も来て貰えます』

葬儀屋が通夜式をさせる為の常套手段で使う言葉、仕事の都合で来られない人にわざわざ時間を割いてまで来て貰う必要はありません。最後に逢いたい人は葬式の時間が駄目なら前日でも後日でも来てくれるものです。

その人達を出汁に使って香典集めをする必要もありません。葬式は本当に送りたい人達の都合で日程を組んで送ればいいんです。また仏教式の通夜には由来があり一般的に行われている葬式の前日版のような通夜式とは全く違います。通夜の由来については最後の雑章の中で由来説明と由来に基づいた通夜の在り方も書きたいと思います。

会社の大小でなく個人的に付き合いが広かった人なら、死体は生ものでいつまでも置けませんから葬式は家族等で済ませておき、後日改めてのお別れ会なら葬式場で無く、ホテルでも、集会場でも、レストランなど何処でも可能です――、がしかし一般人の多くは必要はありません。

『無理をせず、見栄を張らず、最後まで温かく送る葬式』

無理をせず、見栄を張らず、最後まで温かく送れたら最高の葬式ができたと思って良いでしょう。温かい葬式ができれば残る家族は自然と笑顔になれるもの、その笑顔を見れば故人も浮かばれると思いませんか?


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参考資料(お時間のある時にでも読んでみてください)
あんしんサポート葬儀支援センター  
代表ブログ 葬儀支援ブログ「我想う」
家族の死後に後悔しない為の一冊


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