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25:箸渡し?何で箸?手で入れようよ

うちでは「箸渡しはしません」大体に於いて「箸渡し」なる作法は、いつ、誰が作った作法なんだ??? 火葬の歴史から考えても理解に苦しむ。

日本に於ける火葬は700年前、僧である道昭どうしょうの遺言によって行われたと日本書紀にある事から、仏教開祖の釈迦が火葬された事に習ったものと思われ、日本の火葬は仏教からの流れは確かだろう。

しかし明治晩年でも火葬率25%程度、僕が生れた1954年当時50%をみても土葬が主流だったのは間違いない。葬式で隊列を組んで土葬した記憶のある人もいるはずで日本は本来土葬国です。

この世からあの世への橋渡しと、ひとつの骨を2人で挟んで骨壺に納めるのが当り前のように行われているが、この世からあの世は橋渡しであって箸渡しでは意味が異なるのだから単なる語呂合わせでしかなく、例えるなら暴走族の「夜露死苦よろしく」と変わらないレベルであり、公的立場の斎場が全国民に仏教思考を押し付けるのもどうかと思う。

1980年代に入り90%を超え完全普及した火葬でしたが、当時は高温での拾骨、依って火傷防止のため箸を使ったに過ぎない。現在は火葬した台車から熱い焼骨を一旦ステンレス等に取り分け、部位別に選別してから拾骨する斎場、火葬場が増えており各作業を進める段階で素手で触れる温度まで下がっています(熱い台車から直接拾骨する斎場、火葬場も現存します)

拾骨は家族や親戚もいれば他人もいます。配偶者は人生最大のパートナーであり子供や孫達にとっては先祖ですから、生理的に駄目でなければ箸でなく自分の手で「ありがとう」「お疲れ様」の言葉を添えて骨壺に納めて欲しい。やらされてる感の強い箸より心のこもった拾骨になる。

菩提寺の行う葬式なら住職に「感謝の気持ちを込めて手で拾骨したいと思いますが?」と聞いてみると良いでしょう。普通の住職なら「手で入れてあげてください」と言うはず、もし「箸で」と言う住職がいたら、そんな寺はサッサと離檀したほうが良い。

また一緒に育ってきた兄弟姉妹など一世代前の家族も同様、遠い親戚や他人の方で生理的に駄目なら遠慮せず箸の拾骨で構いません。

斎場職員は手袋での拾骨だけど、僕自身が先導する拾骨は家族同様全て素手で行っています。手の拾骨を希望される方は斎場職員が箸を渡しても「手で入れます」と言えば否定されません。斎場職員の中には決まり事のように箸を渡そうとしたり「ひとつの骨をお二人で挟んで――、」という職員もいますが、自分で拾ってそのまま骨壺に納めても全く問題ありません。

何度でも書きますが大事なのは過去の慣習に従うことでなく、自分なりに故人を送れたと思える言動をすることです。葬式で気掛かりな事があったら事前に葬儀屋に聞くと良いでしょう。家族目線の担当者なら全てに於いて僕と同様の回答になるはず、箸の拾骨を勧める担当者なら慣習や言いなりで自分で考える能力は乏しく相談する価値の無いレベルの可能性大です。

『23:焼骨の付着色と部位について』で軽く触れ、本項でもうちでは「箸渡しはしません」この言葉、少し違和感があると思いますが、当方施行の前橋斎場では斎場担当者でなく僕が拾骨先導する家族が大半だからで、きっかけは2つの違和感から始まったような気がします。

前橋斎場は焼骨説明を他より詳しく行う斎場の為、焼骨を大きく残す事から男性の大半と大柄な女性は7寸骨壺(東日本標準サイズ)に納まりきれず崩すくず必要があり、斎場の担当者が木の棒で上から抑えて潰します。

関東は全骨拾骨・関西は一部拾骨

葬儀屋の多くは拾骨室に入らず扉の外で待機しますから実感は薄いでしょうが、他人の職員が焼骨を棒で崩すのを見る家族の中には嫌そうな顔をする人もいて極々当たり前の感情だと思います。

支援センター設立から数年は素人だった事もあり違和感を感じながらも見てるだけでしたが、施行数が増えスキルや知識が増え、何度も新聞記事で取り上げてくれたりNHKが全国放送してくれた事からも、葬儀支援を必要とする家族は確実に増え続けると確信、放送した家族の葬式辺りから、ある程度打ち解けた家族には自身の手で焼骨を潰すよう拾骨の場で伝え始めた。

「箸渡し」は最初から違和感しかなく、お手伝いしてくれる住職にその辺りを訊ねると、葬式後「拾骨で箸を渡されるでしょうが、橋渡しなど単なる語呂合わせに過ぎません。大切な家族の拾骨は手でいれてあげてください」と言ってくれるようになり手で行う拾骨が本格化したのです。

前橋の火葬は基本70分で拾骨連絡を受け拾骨室まで移動して焼骨を触ると熱い事も多く、手で触れるまでの時間潰しで『火葬炉の仕組み』『付着した色』『焼骨の部位説明』を始めたのが拾骨先導のきっかけでした。

火傷せず普通に触れる温度に下がるまでの繋ぎとして説明するには適当で曖昧な情報でなく、ある程度正確な知識の吸収が必要だった事で斎場職員より詳しくなれた面もあったようです。

触れる温度確認すると配偶者、子供達と拾骨する人を指名しながら素手の拾骨が始まると家族以外も素手で拾骨されます。勿論、焼骨が生理的に駄目な人は遠慮なく箸でしてくださいと伝えます。

気付けば当方の拾骨は「手」が当り前、また「代表、これは何処の骨?」と気楽に聞いてくるから「大腿骨だよ」「骨盤だよ」「尾骶骨だよ」と答えてるうちに膝の皿、肩甲骨など見つけて説明するようになっていた。今では良く説明する焼骨は選別してくれてる担当者もいるくらい、いつの間にか拾骨先導が当り前になってた。

手の拾骨を粗方あらかた終えると家族の手で首から上の焼骨が入る空間を作ってから、担当者に声を掛ければ説明しながら拾骨をしてくれフタを閉じると終了、当り前ですが斎場担当者は初めて顔を合わせた人だけど、ある程度のコミュニケーションはとれてる人間が行う拾骨は和やかで、温かい空気で、故人によっては笑いさえある時間になります。

ただ残念ながら葬式や搬送など当方の都合で拾骨に入れない家族もいるし、稀に何となくぎこちないまま火葬まで進む家族もいますから、その時は斎場職員の方にお願いしています。

目指す葬式は只ひとつ『葬式が終わった後も家族が温かさを失なわずにいられる葬式である為に「家族以上に家族目線で」「葬式内容と使用品類は違和感なく」「明確で明瞭な料金で」「家族が料金以上の価値がある」と思える葬式施行――、これだけを目指し走ってきた15年間です。

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参考資料(お時間のある時にでも読んでみてください)
あんしんサポート葬儀支援センター  
代表ブログ 葬儀支援ブログ「我想う」
家族の死後に後悔しない為の一冊



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