日本酒のお話 〜 白鷹①
伊勢神宮にお参りしたことのある人は大勢いらっしゃることでしょうが、神社では食事とお酒が神前に捧げられます。
ではそのお酒ですが、どこのお酒が使われているかご存知でしょうか?こういう神社で使われるお酒を御料酒といいますが、伊勢神宮の御料酒は兵庫県の灘五郷の一つである西宮市にある、白鷹さんのお酒が使われています。おかげ横丁に直営店があるので、買ったり飲んだりしたことのある人もいるかもしれません。
さて、私・進雅と白鷹との出会いはコレ・吟醸生貯蔵酒です。
灘のお酒らしい辛めで、それでいて大辛口ではない絶妙なバランスと、お米の味がしっかり残りつつもスッキリしていて酸味もそう強くなく、最初の一口から飲んだ後まで嫌な残り方をしない切れ味が良く、
おっ、いけるね!
という美味さです。
何やら漫画の影響か、醸造用アルコールが目の敵にされてますが、子供の頃私の祖父の代の人達が飲んでいた日本酒のイメージをいつまでも引きずるのは、個人的には如何なものかと思います。現代の醸造用アルコールは昔の米が足りなかった時代に足し増しする為にやむ無く使っていたのと異なり、香りや品質を整える為に使うのだそうで、いつまでも悪者扱いするのもおかしな話です。実際にはどのお酒も飲んでみて判断すれば良いと思います。
そんな私が西宮市の廣田神社に行こうとした際に、カーナビが何故かフリーズして「あれ?」と気づいたのは曲がるべき所をだいぶ通り過ぎてからでした。
やむを得ず進行方向の少し先にある越木岩神社にお参りし、
「ここまで来たなら白鷹買って帰ろか」
と白鷹さんのアンテナショップである禄水苑さんに向かうことにしました。
禄水苑さんには白鷹のラインナップの中でもそこでしか買えないお酒もあったり、先ほど述べた伊勢神宮に納めている御料酒と同じものや、季節毎の限定品でショップのレジの表示を見逃すと買えない、無印透明の瓶にそこで瓶詰めする生酒(火入れ処理無し)に運が良ければ出会えます。
そしてこの日はそのしぼりたての生酒に行き当たったのでした。
火入れしてないので暖かい車中や部屋に置きっぱなしにしておくと発酵がどんどん進んでしまいます。要は禄水苑さんに買いに行かないと飲めないお酒。
廣田神社は天照大御神の荒魂をお祀りする神社で、阪神タイガースが毎年シーズンの祈願をしにお参りする神社で有名ですが、一方の越木岩神社はその天照大御神の子である宗像三女神のうちの市杵島姫命をお祀りする神社です。
これはもしや、天照大御神のお導きで、いわばカーナビがフリーズしたのは必然で、
「今日は越木岩神社に行って、その後白鷹に行きなさい。」
というお導きか?何せ伊勢神宮御料酒だもんな…てな具合にありがたやありがたやと天照大御神に心の中で御礼を述べつつ、真っ直ぐ帰宅したのでした。
冷蔵庫に入れて2〜3時間冷やし、さてそれでは白鷹にご対面!と封を開けて、ひと口飲んだ瞬間、
「こ、こ、コレは…美味い!」
しぼりたての生酒特有の、日本酒のアルコール感がシュワシュワっとした感じと一緒に真っ先にガツンときますが、それがまた発酵途上の若々しい酒のキャラクターを鮮烈に特徴づけており、それでいて例のスッキリした感覚がすぐに広がり、変な後味は残りません。いわゆる吟醸香みたいなのはありませんが、透明な混じり気の無い日本酒とはこういうものだ、という素晴らしいお酒でした。
素晴らしい逸品に導いて頂いたご神徳に感謝しつつ、翌日にはなくなりました。生酒ですから、開封後はさっさと飲み切らねばなりません。発酵が進んで別の味になってしまいますから。
これに味をしめて、禄水苑さんには後日また行くことになるのですが、そのお話はまたいずれ。
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