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日本酒のお話 〜 鹿島神宮と神の池

ひょんなことから鹿島神宮に導かれて、買ってきましたその名も「神の池」のお話をお届けします。
鹿島神宮と言えば武甕雷神様の本家本元の神社な訳ですが、東京から遠く離れた地にあっても信仰篤い方々が集まる名刹として知られています。
武甕雷神様は武勇に優れた神様で、そのあり方については諸説ある様です。神話の中で有名なのは、高天原の天照大御神からの「約束通り早く地上(日本)の国を明け渡しなさい。」という伝言を携えた天津神の遣いをことごとく籠絡し、のらりくらりと追及をかわしていた国津神の大国主命の元に、しびれを切らした天津神側から派遣された切り札が武甕雷神で、海中に突き立てた剣の上に胡座をかいた武甕雷神が
「明け渡すのか渡さないのか、ハッキリしやがれ!」
とまあ、早い話が啖呵を切った訳です。大国主命は「息子たちに任せているから息子たちに聞いてくれ。」と言って自らは異論は唱えず、息子で長兄の事代主神は是非も無しと明け渡すことにして姿をくらましました。そこにやって来た、やはり武勇に優れた弟の建御名方神は武甕雷神に「誰だふざけたことを言っているのは?」と抗戦の姿勢を示しましたが、武甕雷神に一瞬で投げ飛ばされ、這々の体で諏訪まで逃げて、追いかけてきた武甕雷神にこの国(日本)を明け渡した上で自分はこの諏訪からは出ないと約束したそうな。こうして日本の国は天照大御神に明け渡されることとなった訳ですが、その立役者がここ鹿島神宮にお祀りされている武甕雷神だという訳です。
このあたりの考察は古事記や日本書紀の研究家の方々にお任せするとして、武甕雷神が持っていた剣が霊剣・布都御魂剣だとされています。その布都御魂剣は回り回って後に神武天皇の手に渡り、今は奈良県の石上神宮にあるのだとか。何やらドラゴンクエストに出てくるロトの剣の様なお話です。
そんな人間たちに伝わる話をヨソに、実際に鹿島神宮を訪れると肌身で感じる気の良さ、引き締まる様な空気が心地よく、そしてヘッダー画像に使った写真の様に、奉納されている菰樽に光る「神の池」の文字が。鹿島神宮の中に湧くみたらしの池の名水を用いている、鹿島神宮の献上酒なのだそうです。

みたらしの池

さて、そうなるとお土産に買っていこうかとなるのが私達で、駐車場前に並ぶお土産物屋さんに目立つ様に置いてあるのをしっかり見つけて、まさにお土産サイズの300ml入りを買いました。

愛友酒造さん・神の池

蔵元の名前は愛友酒造さん。潮来市の蔵元の様で、この神の池は醸造用アルコールが入っている本醸造酒です。

こちらがスペック


本醸造酒は常温でも飲みやすく、万人ウケしやすい味わいのゾーンに収めている品物が多く、お神酒に適したものが多い印象です。神の池もご多分に漏れず、一口飲んだ時点で甘味と辛味を同時に感じ、これと言って強烈な味の印象や余韻を残さない作りのお酒でした。全体の感想は現代では古典的てすら感じる「ザ・日本酒」的な味わいです。しかし結局はそういう日本酒が長く愛飲されやすい様な気もします。神の池を初めて飲む人も、だいたい過去の記憶に基づく味の想定の範囲内に収まりやすい訳ですから、ひと口飲んで「あれっ?」という良い意味でも悪い意味でも驚くことがない訳です。
日本酒とはこんな感じのが多いよな…という具合に上手くまとめてあるお酒だと感じた次第です。

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