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「感覚」が「ことば」にできない(前篇)

先日、「温泉に浸かりながら都会の景色を堪能できる」というのがウリのホテルに泊まりました。リゾートホテルになるらしいのだけれど、開業したばかりでキャンペーンをやっていて、ビジネスホテルよりもリーズナブルな価格になっていたので、奇跡的に空室になっていた1日だけありがたく泊めさせていただきました。

大浴場は最上階にあって、ほとんどの人が入浴する夜の時間帯は大混雑。泊まった人の感想を事前に調べてみたときに見つけた「女風呂は芋洗い状態」のコメントは本当でした。「夜景は別にいいから、早朝の人が少ないときに薄明かりの東京を見よう」と決めて、洗面台にあったメイク落としで洗顔だけさせてもらってそそくさと退場。その日は部屋でシャワーを浴びて寝ました。お風呂やサウナは、なるべく静かにゆっくり入りたい。

そして翌朝。5時半くらいに目が覚めたので、きのう支度したまま放置していたお風呂セットを持っていざ出陣。部屋でチェックした混雑状況の通り(大浴場がどれくらい混雑しているか、テレビ画面で確認できるようになってる。便利。)やや混雑で「疎」ではなかったけれど「密」でもなかったし、友だちとわいわいおしゃべりチームもいないようだったので、「ほら、朝の方がいいじゃん」とおもいながら入場しました。

温泉もあり、細かい泡で真っ白になったシルキーバスもあり、サウナと水風呂もあり、岩盤浴もあり、露天風呂もあり、それぞれ心ゆくまで味わわせていただきました。朝から大量の汗をかくのもなかなかいいね。汗かき活動、汗活? とかあるのかな。ググってみよう。あ、ありますね。汗活女子とかでてきました笑。

書きたいのは汗活女子の話じゃなくて、ここからが本題です。お風呂をあがって、コインランドリーで洗濯をしている間、誰もいない休憩所でボーッと考えごとをしていました。いつもの思考タイム。考えながら、自分の感覚も確認するので、自己観察でもある時間。人と話した内容でおもしろかったことを振り返りながら、そこからまた話を派生させてあれやこれや脳内に流れることばは止まらない。それに伴い、感情もあっちいったり、こっちいったり。

そんな思考タイムの最中、涙がこぼれる。あー、思考タイムで泣くのはよくあることなので、驚くことではなくって、だいたいいつも涙が出たら「泣いた要因はなんだ?」「どういう気持ちがわたしに涙を流させた?」とすぐさま観察に移行する。このときは「感覚が、ことばにできない」と泣いていました。自分が体験した感覚、ちがうな、自分が体験したものを通じて感じたこと? それもなんか違う気がするけど、どちらにしてもことばにはできないから仮でとりあえず「感覚」だけにしとこうか。その感覚を伝えたいっておもったらしく、いや、わかんない伝えたいのかな? そこはちょっと微妙だけど、とにかく「ことば」にしたかったんです。少なくともその瞬間は。で、うまくいかなくて、泣く。ことばにすると、どうしても嘘っぽくなってしまう。悲しい。

この話を、その日の夜にメンターに会って話してみました。すぐにメンターに会えちゃう東京すごい。もちろん会ってくれるメンターもすごい。ありがとうございます。心から感謝しております。

すると、おもしろい考察が。「泣く」ということは、なにかしら「満たない」からないているんだろう、って。「満たない」ってことは、なにか「基準」があるはず。たとえばそれが、そのことばの「美しさ」だったり。あーそれは納得。ことばには美しさを求めたい。それでどこが基準ラインになっているかというと、どこかで見聞きした誰かの美しいことばなのだろう。これもまあ「ここ!」って言えない曖昧なものだけれど。ゴールが明確じゃない。でも、少なくとも確実に言えるのは、自分のことばは到底そのライン付近には届かない。あー悲しいな、で泣いたのかもしれない。

あともう1つ、いただいた考察。ことばが自分の一部になっているから、しんどいんじゃないか、と。メンター曰く、わたしたちの体の中から出るものは、出た瞬間にもう自分のものでなくなっている、とのこと。たとえば、吐いたツバをもう一度飲み込もうとはしないよね、と。ことばもそうなんじゃないか、と。おもしろい視点。わたしにはなかった考え方に触れられるのはたのしいです。わたしがわたしから出たことばを自分の一部として扱っているから、自分のものとして受け入れられる、もしくは受け入れたいレベルにならないと、納得いかないのかもしれない…と書きながら、なんだその変なストイックさは、とおもっています。そういえば18の頃、友人に「坂木さんって、考えながらしゃべるよね」と言われたことがある。あのときはそんなこと初めて言われたからびっくりしたけど、確かにそうだし、いまもそうだし、わたしを知っている人でそう感じている人は大量にいる気がする。

そんなわけでいまも考えながら書いていて、書きながらまた派生して、引用したいこととか、おもいついたこともあって、長くなりそうです。しかもそれを経由しないと終着点にたどりつかなそう。とはいえ1つの投稿にするには長いし、わたしもそろそろ疲れてきたので、いったんこの投稿はここまでにして、またあしたにでも続きを書くことにします。

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