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VC/スタートアップは気候・環境問題を解決できるか~2020年夏~

どうも、この夏はドキドキが止まらない、ANRIの鮫島です。
さて、先日のヤフーニュースでも取り上げられていたクリーンテック。創業時のツイッターやウーバーへの投資で有名なクリスサッカがLowercabon Capitalを立ち上げ次の金鉱として気候・環境問題を選んだものの、この分野はこれまで投資家からは暗黙のうちに避けられていた分野です。

というのも、OKR本でも有名なKPCBのJohn Doerrが2008年にTED Talkで「GO Green」と熱弁し、次のインターネットは気候問題だ、として気候変動問題を「Green Tech」とカテゴリー付けしてVCからの投資対象分野としました。一部の会社は成功したものの、長期で膨大な研究開発費が必要にも関わらずリーマンショックも重なって投資が集まらない、技術ハードルが高すぎた等の理由によりGreen Tech分野としての投資の殆どは失敗に終わったからです。

最近の動きをみると上述のLowercarbon Capital以外にも、Sequoia、Khosla、Union Square Ventures等の割とGeneralな著名VCも「Climate Tech」とカテゴリーして気候問題への投資を開始すると発表しています。(詳細なリストは以下参照してください)

それでは果たして今回のこのClimate Techブーム、10年前のグリーンテックブームの時と何が違うのでしょうか。
まず、第一に2030年までに化石燃料がより安価な太陽光、風力等の再生可能エネルギーとそれに伴うゼロ炭素技術にシフトして、石油産業が崩壊するという可能性が指摘されています(その結果100兆ドルもの資産が用無しになるとの指摘も)。実際、2018年に投資銀行のラザードが行った調査によれば、実用規模の太陽光発電の発電単価は1メガワット時あたり36ドル、風力発電は1メガワット時あたり29ドルにまで下がっており、「殆どの天然ガス発電所、石炭火力発電所、および原子力発電所のコストを下回っている。」と主張しています。2017年時点では太陽光・風力発電が世界の全発電量にしめる割合はわずか3%ですが、その成長カーブが著しくこれから大転換が起きると考えられています。

次に、VCファンドへの投資家である年金基金等の大手機関投資家が気候・環境への投資を推進しているということが挙げられます。その為、そのお金を運用しているVC側も積極的に成らざるを得ないという背景があると考えます。例えば、ノルウェー政府年金基金やイギリスの大学教職員退職年金、アメリカのカリフォルニア州公務員退職年金基金(カルパース)等が環境問題含むESG投資を推進しています。ESG投資へのコミット測る度合いとしてPRI(責任投資原則)への署名が参考値となりますが世界では2500の機関が署名し、その運用資産額は90兆ドルにも上ります(出展:PRI HP)。

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第三に、今回の変革はこれからの労働人口の大半を担うミレニアル世代、Z世代が引き金となったもので、自らで気候・環境を変えていくという意識が高い点です。アメリカに本部をおく国際環境NGO「350.org」では学生が小規模な地方自治体や地方大学の理事会にダイベストメントを突きつけて年金基金の投資先を見直しただけだったものが、それが一気に広がったとされています。また、最近ではグーグルの従業員が公の場で気候変動を否定する業界や政治家等との関係を断ち切るよう幹部に直訴したほか、Amazonではジェフベゾスに対する要求事項の公開書簡のに8700人もの労働者が署名、その結果約2000億円の「The Climate Pledge Fund」創設に繋がっています。

最近発売されたHBR(P41)でも最近の米国人の環境への意識が2008年並みもしくはそれ以上に高くなっていて、気候・環境問題が総和になりつつあるのかなと感じています。

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これらの動きは僕にはNoiseではなく変革のSignに見えて、これから10Xの投資や人材がこのClimate Tech業界に流れ込み、新しい産業が立ち上がるのではないかと(尊敬するAndy Groveの言葉)。また、そもそものベンチャーキャピタルの資金はこのような人類の社会課題解決に向かうべきと考えているので(VCはProduct Market Fitキャピタルと揶揄される事もありますが)、核融合エネルギー等の新たなエネルギー分野、マイクロプラスチック等の環境分野に積極的に投資して、2030年の子供達と笑顔で乾杯したいわな。

それではみなさんご唱和願います。「グリーンだよ!!!」

最後に。資金調達、起業相談、テック系分野のインターン、zoomお茶したいとかあればお気軽にDMくだされー



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