身捨つるほどの祖国はありや
東北生まれの私の名字は全国的にも漢字自体は結構見かけるものかも知れないが、読みが特殊であり、高校の頃それを面白がった同級生とともに地域の図書館で酷くローカルな民俗学本などを漁っていた所、判明したのは私のルーツは坂上田村麻呂による蝦夷征討で、朝廷に降伏し農民として土着した蝦夷の末裔であるということだった。
それ以降だろうか、私には祖国がないと感じるのは。
"国家とは祖国ではないそれを混同させるのはそれによって儲ける奴らだけだ"
ロマン・ロラン
私は近代に日本がなんとか国家としての纏まりをみせそしてそれまでに蓄えていた文化や古語などを誇らしく思う一方で。私には疎外感というものがつき纏う。蝦夷であり、過去に隷従を強いられた者たちがルーツであるが故に。
私は自由でありたいと無国籍な国際人でありたいと願う。しかし、自分の国籍やルーツというのは何処までも追いかけてくるものだ。
そして今、私には祖国はなく幻影だけがある。
死地を選ぶならルーツの幻影が決して追跡することのない海外で死にたい。
「日本は単一民族国家である。」という盲言をわめき散らかす雑音がどこにも聞こえない土地を求めている。
そんな祖国を見出したら身も捨てる覚悟なんてのもできるのだろうか。
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