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同志社大学講義録「悪」の進化論/佐藤優 #自己用書籍要約

◆なぜレーニンはミイラにされたのか
 →ロシア正教では「聖人は腐らない」と信じられている。腐敗しないでミイラになる人が聖人。
 つまり、レーニンは聖なる人だったから腐るはずがない→そこで腐らないように防腐処置が施されて、ミイラ化された。そして国民に見せる。やはりレーニンは聖人で偉大な人だと納得させる。


◆就活自殺はなぜ起きるのか
 就活自殺の原因は、一種の精神疾患が隠れている。「承認依存症」。
 今までは客観的な指標、例えば「△△の試験に受かればいい」とか、あるいは自分の内面的な価値観―――革命運動に従事するでもOK、そういったものがあり、そのハードルを超えれば気分が落ち着けた。
 でお、現代は「他者がどう評価する」「他者から承認されるかということ」が死活的に重要になってきている。
 だから、「他の人たちは自分が就職するところをどう思うだろうか」ということを気にする。「やはり有名な企業がいいだろう」と、他者からの評価で決めてしまって、そこに入れないとなると極端な話だと「もう人生終わった」と思い、自殺する。
 理想の就職ができなかったために「もう自分は価値のない人間だ」と思い詰めて、簡単に自殺する。

◆モンテッソーリ教育は英才教育ではない!?
  Amazonのジェフ・ベゾスや将棋の藤井聡太さんが受けてきた教育論。
子どもの敏感期のときには、やりたいようにやらせて、子どもの特性を伸ばしてやれば後々の知能の発達につながるんだという仮説を、イタリア精神科医で哲学者のマリア・モンテッソーリが唱えた。
たまたま才能を開花させた人たちを輩出したために、アメリカやイギリスで実践されたときにはエリート教育の方法と受け止められた。
しかし、本当のモンテッソーリ教育は「子どもの世界と大人の世界は違う」という世界観に基づいた教育方法。
 自衛官と警察官はこの教育に向いていない職業。


◆なぜ中国でデザイナー・ベビーが生まれたのか
キリスト教文化圏ではないから。
HIVに感染している夫婦が、HIVウイルスを持っていない子どもが欲しい→ゲノム編集
しかし、ゲノム編集の是非は確定していない。だが中国ですでに生まれてしまった。倫理規範無視。
人間というものはそもそも神が自分の似姿として作って、そこに魂を吹き込んだ。人間が生まれるというプロセスは神の領域→だから人は人間の誕生に手出しをすべきではないと考える
しかし、中国人にはそうした考えはない。だからDNAに手を加えるのに抵抗がない。


◆現代のヒトラー的優生思想、「人は見た目が9割」「言ってはいけない」
これは人間が生まれながらにして可能性が決まっているという、優生思想にほかならない。


◆どうやって戦前の日本軍は若者に特攻をさせたか?
 宗教と薬物。
大義のために死ぬのは光栄なことだというふうに洗脳(宗教)し、覚せい剤で自分を無敵に感じさせる。覚せい剤は麻薬とかと違って、理性は麻痺しないから微分計算はできる。特攻で死ねば英霊になれる、大義と一体化できるという具合に教え込んだ。
また、戦時中に大量に作った覚せい剤は戦後、闇市に流れて覚せい剤中毒の患者がたくさん生まれた


◆「限定合理性」の観点から、日本軍は特攻を実行した
 現在の我らから考えれば、神風特攻隊は非合理的に見える。
しかしこのままいけば、どんなことをやっても日本は負ける。それを前提として考えたときに最も合理的な手段は何か?
→当時の日本にとって、最も避けなければいけないのは本土決戦。戦場が日本列島になること。
そのため、命を捨て、ゲリラ攻撃をしてまで「もし、日本に上陸しようとしたら、手痛い反撃を受けることになるよ」と思い知らせる必要があった。
 本土決戦で死ぬ人数>特攻隊で死ぬ人数
→「限定的合理性」
しかし、アメリカは彼らなりの限定的合理性のなかで考えた結果→原爆投下
上陸作戦をせずに済むと思えば、このほうがずっと人道的だとアメリカ政府は考えた。


◆無限責任を負う軍人
 自衛隊員。
自衛隊法によれば、現場を勝手に離れたり、指示された現場に行かなかったりしたら7年以下の懲役または禁固刑に処せられる。勝手に辞めるわけにはいかない。軍事用語で言えば、敵前逃亡のため、軍隊においては罪になる。


 ◆王様に仕える宦官はなぜ生殖能力を奪われる?
  富や権力が世襲されていくことを避けないといけないから。世代を重ねていくことによって、王様をしのぐような権力や富を持たれたら困る。だから絶対に子孫を作らせない。
カトリック教会の神父独身制も同じ機能。去勢はしないが、結婚させないことで子孫を作らせない。


◆禁煙運動に潜む危険
 厚生労働省の禁煙運動の理由が「国民の健康のため」というのなら問題なし。
しかしプラスアルファで「肺がん患者を減らすことは医療費削減につながる」というロジックが伴う。裏を返せば、肺がんになるような国民は保険制度の敵だ、国家財政の敵だということでもある。
→ナチスの論理にひじょうに近いということを理解しなければならない。


◆優生思想


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