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認知症(dementia)とは、後天的な原因によりいったん正常に発達した認知機能が持続性に低下し、日常生活や社会生活に支障をきたすようになった状態をいい、それが意識障害のないときにみられることです。また認知症では、慢性あるいは進行性の脳疾患により、記憶、思考、見当識、理解、計算、学習、言語、判断などの多数の高次機能障害からなる症候を呈します。ICD-10とDSM-5においては、それぞれ「F00-F09 症状性を含む器質性精神障害」と「神経認知障害群」に分類されます。

認知症の原因

認知症の原因となる疾患はさまざまですが、つぎのような疾患があります。

  1. アルツハイマー病→アルツハイマー型認知症

  2. 脳血管障害→脳血管障害型認知症

  3. びまん性レビー小体病→レビー小体型認知症

  4. 前頭側頭葉変性症→前頭側頭型認知症

  5. 慢性硬膜下血腫

  6. 正常圧水頭症

  7. 脳腫瘍

  8. 脳炎

  9. 神経変性疾患(進行性核上麻痺、パーキンソン病など)

  10. プリン病

これらの原因疾患の中では、アルツハイマー型認知症の患者数が一番多く、アルツハイマー型認知症と脳血管障害型認知症で認知症患者全体の8割を占めます。

認知症の診断基準

ICD-10

G1. 以下の各項目を示す証拠が存在する。
1)記憶力の低下: 新しい事象に関する著しい記憶力の減退、重症の例えは過去に学習した情報の想起も障害され、記憶力の低下は客観的に確認されるべきである。
2)認知能力の低下: 判断と思考に関する能力の低下や情報処理全般の悪化であり、従来の遂行能力水準からの低下を確認する。
1)、2)により、日常生活動作や遂行能力に支障をきたす。
G2. 周囲に対する認識(すなわち、意識混濁がないこと)が、基準G1の症状をはっきりと証明するに十分な期間、保たれていること。せん妄のエピソードが重なっている場合には認知症の診断は保留。
G3. 次の1項目以上を認める。
(1)情緒異変性
(2)易刺激性
(3)無感情
(4)社会的行動の粗雑化
G4. 基準G1の症状が明らかに6カ月以上存続していて確定診断される。

NIA-AA(2011)

1,仕事や日常生活に支障。
2.以前の水準に比べ遂行機能が低下。
3.せん妄や精神疾患によらない。
4.認知機能障害は次の組み合わせによって検出・診断される。
(1)患者あるいは情報提供者からの病歴
(2)「ベッドサイド」精神機能評価あるいは神経心理検査
5.認知機能あるいは行動異常は次の項目のうち少なくとも2猟奇を含む。
(1)新しい情報を獲得し、記憶にとどめておく能力の障害
(2)推論、複雑な仕事の取扱いの障害や乏しい判断力
(3)視空間認知障害
(4)言語障害
(5)人格、行動あるいはふるまいの変化

DSM-5

A.1つ以上の認知領域(複雑性注意、実行機能、学習および記憶、言語、知覚-運動、社会的認知)において,以前の行為水準から有意な認知の低下があるという証拠が以下に基づいている:
(1) 本人、本人をよく知る情報提供者、または臨床家による、有意な認知
  機能の低下があったという懸念、および
(2) 標準化された神経心理学的検査によって、それがなければ他の定量化
  された臨床的評価によって記録された、実質的な認知行為の障害
B.毎日の活動において、認知欠損が自立を阻害する(すなわち、最低限、請求書を支払う、内服薬を管理するなどの、複雑な手段的日常生活動作に援助を必要とする)
C.その認知欠損は、せん妄の状況でのみ起こるものではない
D.その認知欠損は、他の精神疾患によってうまく説明されない
(例: うつ病、統合失調症)

参考
認知症疾患診療ガイドライン2017




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