見出し画像

これからの半導体株は?

noteを読んでくれてる人はわかると思いますが、私は半導体株に短期的に弱気・長期的には強気です。

半導体には日本企業の強みが色濃く反映されています。例えば樹脂バルブの旭有機材や、光技術のsantec、絶縁紙の日本高度紙など「技術大国ニッポン」の精密かつ伝統的な技術が先端半導体を支えています。

信越化学のシリコンウエハがなければTSMCだって半導体を作れません。そのシリコンウエハを研磨する装置を作る岡本工作機械や、洗浄装置の野村マイクロサイエンスが無ければ世界中の半導体は製造できないんです。

その半導体は自動車・家電・スマホ・ゲームなどあらゆる電子部品に使用されているため、世界中のITを支えているのが実は日本の技術だったりするわけです。

少子高齢化が進み、政治と金融には期待できない日本が世界で戦える産業の一つが半導体関連部材だと思っています。

いろんな会社を見てきましたが、半導体関連株が日本で1番輝いて見えました。株価は暴れ馬なんですけどね😂



そんな私がなぜ半導体株を買うのか、そしてなぜ「のあの犬」と「のあ超推し」の2つに分けているのか、それは去年11月の記事を見るとわかります。

当初は「のあ超推し10銘柄」の中にディフェンシブ株と半導体株を組み入れていましたが、今年の2月から「のあの犬」でディフェンシブ株を扱うようにしました。


この記事の中で導体株は2024年6〜8月がピークと予想していたんです。今のところ現状と一致しています。


だから4月の「新・のあ超推し」ではアバールデータも野村マイクロサイエンスも日本ピラー工業も除外していました。あの時買っても旨みが少ないだろうと考えたからです。


また、様々な企業決算をくまなく分析して、景気循環株のサイクルから「建設機械株」「自動車株」「半導体株」の底を読み取った記事がこちらです。あまり人気なかったけど個人的には今年のベスト記事だと自負しています…🥺




⭐️ボロボロの半導体株は今後どうなりそう?

今日も半導体株は酷い下落でしたね。でも半導体より酷かったのが「自動車株」です。

上の記事で考察した通りの展開になってきていますね。自動車株はファンダメンタルズ的にはまだダメです。株価は気分屋なのでどうなるかはわかりませんが、企業業績や今後の見通しでは自動車株は半導体株より遥かに暗いです。

一方で半導体株はファンダメンタルズは良好ですが、それ以外の要素(=投資家心理)が悪化していることが株価下落の要因だと私は考えています

では半導体株が下がっている本質的な理由を考えてみましょう。それは米国景気の減速でも、日本の利上げでも、信用取引の増加でも、NVIDIAの決算でもありません。どれも間違ってはいませんが、本質的ではありません。

本質的な株価下落要因は【半導体サイクル】と【そのサイクルが認知されていること】の2つです。半導体サイクルだけでは説明がつかない部分もありますが、「人々が認知していること」が合わさると説明がつきます。

過去の東京エレクトロンの株価推移をクローズアップしてみます。この会社が日本で最も綺麗な半導体サイクルを株価に反映しています。


2015年の東京エレクトロン
3150円→1839円まで10ヶ月かけて42%下落しました。その間の営業利益は上昇しています。


2018年の東京エレクトロン
7958円→3865円まで12ヶ月かけて52%下落しました。その間の営業利益は上昇しています。


2022年の東京エレクトロン
23056円→11516円まで10ヶ月かけて50%下落しました。その間の営業利益は上昇しています。


業績が良くなればなるほど、少し先の需要悪化を織り込んで株価が下落する「逆行現象」が起きます。これが半導体サイクルです

つまり足元の好調な業績は、少し先の業績悪化を示唆しているわけです。綺麗に50%程度の下落と10ヶ月程度の下落期間が繰り返されてるんですよね。


そして現在の東京エレクトロン
ピークからの下落幅は−48%、下落期間は6ヶ月です。
今回も営業利益は絶好調ですね🙂


東京エレクトロンから読み取れる現在の半導体市況は、1年先の深刻な業績悪化を株価に〝急速に〟織り込みました。

本来は10ヶ月〜12ヶ月程度かけて下落するはずが、わずか半年でほぼ下落のピークと言えるところまで落ちてきました。

半導体株の調整期間はあと4〜6ヶ月ほど続きそうですが、下落幅としてはかなり底値に近い水準だと思います。なのでここからは底値を固めるためのレンジ相場を作っていくと考えています。



しかし今のところ業績が好調なのに株価だけが急激に下がりすぎでは?他に何か致命的な問題があるのでは?と思う人もいるでしょう。

実際、野村マイクロサイエンスのように減益決算を出した会社はありますが、レーザーテックや東京エレクトロンなどの大型半導体株は業績に何も問題はありませんでした。

けれどもここで重要となってくるのが【半導体サイクルを認知している投資家】の存在です。

株価は来年の業績悪化を織り込んでいますが、実際に来年の半導体株の業績が悪化するかどうかは来年になってみないとわかりません。

ですが、私のように半導体サイクルを意識している投資家あるいはトレーダーは多く、私が今年の3月に半導体株を売ったように、他の投資家も半導体株を売り始めます。

こういう動きになるのは『半導体株はそういうもの』という認識があるからなんです。

例えば「6月になるとジメジメしてきて雨が降ってくるから、傘を準備しておこう」と多くの人が考えます。それは『梅雨』という概念が多くの日本人に認知されているからなんです。

仮に梅雨を知らないコンゴ共和国出身の人が日本に来ると「雨ばっかりだ」と嫌な気持ちになるかもしれません。さらにその後、むせ返るような暑さと台風がやって来て「日本なんかに来なきゃ良かった」と思うかもしれません。

でも我々日本人なら梅雨のあとは猛暑と台風、その後は短い秋がやってくることを知っています。もしかしたら梅雨は来ないかもしれないし、冷夏になるかもしれないし、台風もほとんどない可能性もありますが「梅雨→猛暑→台風→秋」という前提で生活しますよね。毎年の風物詩みたいなものですから。


半導体サイクルも同じです。実際に来年の業績が悪化するかはわからないけど、過去の半導体サイクルの傾向から、多くの投資家が2024年の前半がピークだと判断しました。


今年前半の半導体株全盛期の時、私がXで半導体サイクルについてポストしたところ「もう半導体サイクルは過去のもの」というリプライが多くつきました。あの時は半導体株が絶好調だったから「もう半導体サイクルは終わった!AI需要が株価を押し上げ続ける!」という意見が多数派だったんです。

でも今、半導体株に強気の投資家なんていますか?どこ見ても「半導体株からは逃げておけ」しか書いていません。さらにSOXL投資家への批判が集まっていますよね(元々私はレバレッジ投資は反対ですけど…)

株価の短期的な値動きで、投資家心理というのはこうも簡単に変わってしまいます。でも冷静になると半導体サイクルの中で動いているだけなんですけどね。

でも本当に恐れるべきは半導体株が下がった後の指数の大幅下落です。半導体株が下がり始めると後から必ず株価が大幅下落してるんです。




東京エレクトロンは2015年1月にピークをつけて2015年10月に底打ちしますが、S&P500は2015年7月にピークをつけて2016年2月に底打ちします

2016年のS&P500と東京エレクトロン(黄色)


2年後も同じです。
東京エレクトロンは2017年11月にピークをつけた一方で、S&P500のピークは2018年9月でした

2018年のS&P500と東京エレクトロン(黄色)

2016年はチャイナショック、2018年は米中貿易摩擦でした。でもその前に半導体株が下落を始めてるんですよね。まるでその後にある暴落を予期しているかのように😂

だから半導体株から逃げておけば安心というわけではないんです。むしろ半導体がダメなら他の株も後からダメになります。すでに自動車株や建設機械株も落ちていますよね?なぜ業績絶好調なトヨタやコマツの株価が落ちてるのか?それは半導体の下落から世界経済の減速を予測したからでしょう。

世界中の工業製品や産業に広く使われる半導体が不況になると、自動車・機械はもちろん、その自動車や機械を使う物流・建設がダメになり、物流や建設がダメになれば建設資材や鉄の需要が減り、流通が滞ることでエネルギー需要が下がり、ほぼ全ての業界で不況がやって来ます。全ての業界が不況になれば、労働者の賃金が低下して消費が減り、サービス業もダメになります。

こうやって、半導体の不況が始まってから時間差で世界的な株安が起きるのです。



⭐️現在のS&P500と半導体株は?

まだまだ余裕で踏ん張っているS&P500ですが、東京エレクトロンはすでにピークから半値になりました。私は先行指標の半導体株よりも、遅行指標の株価指数の方が心配です。

この綺麗な逆行現象、おそろしいですね




ここからは「のあ超推し」の半導体株の現状を軽く分析してみます。

ここから先は

360字 / 3画像

S&P500ぷらん

¥2,000 / 月
このメンバーシップの詳細

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?