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たずねてきたカコ

「カヤ姉ちゃん……」

「マーくん……」

顔が近づいて……目が覚めた。
クソな仕事を辞めてから、最初に見た夢はクソだった。

中学生の頃、大学生と深い仲になった。あの時は最高だった。
だが会えなくなった。関係がバレたわけじゃない。親父の浮気がバレて、お袋が俺を祖父の家に連れ出したのだ。

半年ほどして戻って来た時、姉ちゃんは大学をやめ、引っ越していた。噂によると引っ越す前の姉ちゃんは、お腹が膨れていたとか。その話を聞いたとき、自分のしたことが恐ろしくなり、それ以来EDだ。

両親は離婚しなかったが、家は冷え切って、最悪だった。
家を離れるため、高校卒業と同時に就職したが、最悪だった。
だが宝くじが当たった。俺の人生は、これからはじまる。

チャイムの音が鳴った。
頼んだのが届いたかと玄関を開けた。

「木田マサシさんですか?私、藤崎カコっていいます」

中学生ぐらいの女の子には、俺と同じ泣きホクロがあった。

【続く】

さぽーとすると映画館にいくかいすうが増えます