見出し画像

廃墟に残るもの

「箱はボロボロ……だけど中身は無事。一万ぐらいかなー」

「鑑定するのは後で、車に運べよ」

「急ぎじゃないし、じっくり見させて」

急ぎじゃない、といわれてもやってることは、泥棒だ。さっさと終わらせたい。ヒロのおかげで、玩具の価値がわかったとはいえ、一人で運搬は骨が折れる。

「そういえば、何で放置されてるんだろうな」

「ブームに乗ろうとして、大量に買ったが、ブーム終了で売れ残ったって感じかな。種類的にも、そういうの感じさせるし」

売れ残りが、今はプレミアか。所有者が知ったら、悔しがりそうだ。もう生きていなさそうだが。

「積んでくるから、見終わったら手伝えよ」

「あいよー」

──

車に積み一息つく。まだ日が明るいとはいえ、廃墟というのは不気味だ。本当にはやく帰り……

突然ヒロの叫び声が響きわたる。

あいつは人をびっくりさせることが好きだ。きっとこの叫びもそう、そうであってほしい。

【続く】


さぽーとすると映画館にいくかいすうが増えます