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三毛猫ホームズの推理読んだら突然不幸が沸いて出た

 最近は中古の100円コーナーにある本を手に取る日々である。うっすら名前の聞いたことのある本や、タイトルで興味をひかれた本に触れてみる。中古本は作者に金が入らないから買うなという声を目にすることもあるが、いつか中古で読んだというのはマナー違反みたいになるのだろうか?もしかすると来るかもしれない未来に不安を感じつつも今日も手に入った本を開く。

 以下の文は本の内容のネタバレ含む。

 羽衣女子大学の売春をしていた学生が殺害された。刑事・片山義太郎は被害者の売春の件の調査を上司の三田村に命じられる。片山は大学に向かい、文学部長森崎から大学寮に売春グループがいるのを聞かされる。大学寮の調査に取り組む片山であったが、森崎が殺害される。
 動機が分かれば事件の3分の2は終わりという。森崎が大学の汚職事件について調査していたと犯人の動機はつかめたが、彼は密室という不可解な状況で殺されてるのであった。

 少し名前を聞いたことがあるから手に取ってみたが40作ほど続くシリーズの第一弾。大学生殺人事件と文学部長の密室殺人、果たしてこの二つは関係あるのか、ないのか。
 最初の出だしは少し滑りが悪いと感じたものの、森崎が殺されて推理が進むと話が一気に面白くなり始めた。森崎の飼い猫「ホームズ」だが、主人公が捜査に詰まると彼女の行動がヒントとなり、ひらめきに繋がる。果たしてホームズの行動は意図的なものか、それともただの偶然かは定かではないがゲームのヒント機能とばかりに、止まった状況を動かすので中々心地の良い猫であった。
 森崎殺人事件がはじまってからは事件解決までスイスイ読めたものの、女子大生(連続)殺人の解決篇がはじまってからは俺のあたまがばくはつした。

 二つの事件があれば、それは別々のようで実は繋がってるのか?同じ見えて実は別なのか?という交差が良くあるがこの作品にはそういうのはなかった。それについては良い。別でありそうな感はなんとなく感じ取れた。
 文学部長殺人事件解決後の物語最終盤に女子大生殺人犯がわかるのだが、正体は主人公の父親代わりでもあった上司三田村で、殺人の動機が別人格に切り替わり人を殺してしまうという、事件は動機が大事と初期にいっていたのはどこに?主人公は病気だからというものの、病院送りになるなら死を選ぶと自殺。ついでに文学部長殺人犯も事故死。更に妹と三田村は男女の中であり、妹が彼の子を堕胎していまうと最後の最後に怒涛の不幸ラッシュ。
 ナニコレは?と俺が混乱に陥ってる隙に物語はエピローグに入り一か月後。妹は元気になり、ホームズは片山の飼い猫になっていた、終わり。

 俺が三田村が怪しいという兆候を逃していた可能性はあるが、果たしてこれなら女子大生殺人事件の話いる?と頭がグルグルになった。推理モノって面白いけど真実解き明かしたところで解いた人含めてみんな不幸になってスッキリしないよね、という考えを俺は持っていたがスッキリしなさを補強するかのような不幸はいるのかと頭を悩ませた。

 コレはその後40近く続くシリーズの一つであり、当時不幸を盛るのが流行っていたとかあるのかもしれない。なにせ40年近く前の話だ。ノリが合わないところもあるだろう。それでも楽しんだ部分は多い。次のシリーズに手を伸ばすかどうかは決めかねているが、ひとまずこの本についてアレコレ考えるのはやめよう。

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