午後のティー劇場特別編 女ターザン

ゴリラが自転車を捩じる!ゴリラが自動車を潰す!雄叫びをあげ、大自然の怒りをぶつけるかのように文明社会の象徴を破壊する!

「大変!ジェシーが暴れているわ!」
「大丈夫さ、マリア。ゴリラは紅茶を飲むと大人しくなるんだ」

マイクは得意げにティーカップを取り出し、ジェシーに差し出す。ジェシーは受け取り、香りを確かめる。

「スゴイわ!マイク!さっきまで暴れてたジェシーが大人しく紅茶を受け取ってる!」
「僕は博学なんだ。これくらい常……」

マイクの頭が爆ぜる!ジェシーがティーカップを剛腕で投げたのだ!

「マイク!どうしよう!このままジェシーが止まらないと保健所が来て撃たれるわ!」

ア~~ア~ア~~

遠くから雄叫びが聞こえてくる。大地のように力強く、風のように優しい叫び。この声は一体だれか!だれなのか!

「女ターザンよ!」

ツタを駆使し、ジャングルからコンクリートジャングルまでスイングアクションでやってきた!

「友達のためならどこまでも!友情の戦士女ターザン!」

「都会で暴れちゃダメってあんなにいったのに。やっぱり一緒にジャングルにいたほうが良かったかしら」
「そんなことより女ターザン!はやくジェシーを止めて!」

女ターザンは自販機で紅茶を買い、ジェシーに差し出す。

「ダメよ!マイクが紅茶を渡したのに、大人しくならなかったわ!」
「大丈夫よ、見てなさい」

ジェシーはペットボトルを器用に開け、香りを確かめる。先ほどまでの鬼の形相が、まるで仏のように柔らかくなり、一気に飲み干す。するとその場に寝転がり、いびきをかきはじめた。

「すごいわ!でもどうして?」

「私が渡したのは午後の紅茶 ミルクティー。紅茶のコクのある香りとミルクの濃厚な味わいを引き出した、本格アイスミルクティーよ。マイクのあほはミネラルウォーターとか、気取ったもので作ったのでも渡したのでしょうね」

ジェシーのほうは女ターザンが見事解決!だが辺りに広がる鉄くずと化した自動車たちとマイクの死体を、どうすればいいのかマリアの頭を悩ませる。そんなときマッコイおじさんがやってきた。

「ここにあった違法駐車どもを壊してくれたのかい。爆破する手間が省けたよ。あとマイクは詐欺師で近々逮捕しようと思っていたんだ。死んだのなら逮捕せずに済んだよ」

「これにて一件落着ね!」

女ターザンがセリフをキめると、マリアの顔に笑顔が戻った。今日も都会の平和が守られた。

【完】

さぽーとすると映画館にいくかいすうが増えます