ご縁が広がる自治体複業!初めての挑戦は出身地の奈良で
「以前は、地元の奈良に関わりたいという強い想いはなかったように思います。地方や地元のために活動している友人・知人をみて、地元の奈良に貢献したいという気持ちが自分にもあるんだな、と気づかされました。」
出身地の奈良県で、SNSマーケティングアドバイザーとして自治体複業に参画した寺山さん。実は自身の心の中に地元愛が秘められていることを、これまでは認識していなかったのだとか。そんな寺山さんですが自治体複業を通し、今ではすっかり奈良県下市町の大ファンになっているそうです。
今回は地元奈良で自治体複業に挑戦したきっかけや、有償での業務の継続に至った背景、大成功を収めたプロジェクトの裏側についてお話を伺いました。
*プロフィール
寺山 小弥子 氏/株式会社SAWAGI 代表
奈良県下市町:SNSマーケティングアドバイザー
初めての自治体複業は出身地の奈良で!内に秘められていた地元愛
2023年の後半は、新しいことに挑戦する期間にしようと決めていたので、自分のこれまでのスキルや経験を活かしながら、やったことないことに挑戦したいと思っていたんです。
その中で出会ったひとつが、複業クラウドfor Publicで、自治体とのお仕事は経験が無かったので興味がありました。
地域と関わってお仕事することに興味はありましたが、あまりイメージが湧いていなかったのが正直なところです。そのため、最初から地元の奈良に関わりたいという強い想いはなかったように思います。
複業クラウドでも、いくつか地域の自治体求人を見ていました。興味がある求人には「キニナル」というブックマーク機能で保存してはいたのですが、なかなか応募動機が思いつかず、応募までしたことはなかったです。
奈良県下市町の募集を見つけたときは、出身が奈良県ということもあり応募動機を記載する際にすらすらと書くことができたんです。それと同時に、やはり地元の奈良に貢献したいという気持ちが自分にもあるんだな、と気づかされました。
知る人ぞ知るディープな下市町を、県内外に発信
奈良県内、県外への発信力が弱いことが大きな課題でした。下市町は創業800年を超える日本最古のお寿司屋さんがあったり、割り箸や絵馬、商業手形発祥の地であったりと歴史と文化の町です。
一方で、奈良県民でも下市町を知らない人は多く、知る人ぞ知るディープな町という存在です。実は私も、生まれてから高校卒業まで18年間奈良に住んでいましたが、下市町には行ったことがありませんでした。そこでInstagramなどを活用して奈良県内、県外への発信を強化するべく採用いただきました。
3人それぞれの得意領域があったので、それに合わせて役割を分担しました。1人はフォトグラファーの方だったので、Instagramに投稿する写真を撮影する際のテクニックを伝授するという役割でした。
もう一人はYouTuberとしても活躍されている方で、企画を立案することが得意だったので、Instagramのコンセプト設計や企画内容を職員さんと一緒に考案されていました。
そして私は、プロジェクトの全体を管理する立場として、定例ミーティングで進捗や数値の確認、情報発信におけるコンセプト設計、プレスリリース作成、メディアアプローチ、noteの企画などを主にさせていただきました。
ヒントは職員との対話にあり!コンセプト設計の裏側
Instagramは「もう一度、これから」、現在制作中のホームページは「あそびにきぃや。奈良しもいち」というコンセプトに決定しました。文章を考えるときにヒントにしていたのは、職員さんとの対話の中で出てくるワードでした。
例えば、夏であればキャンプ場があるので、町を出ていった友人に「あそびにきぃや」と気軽に言えるけど、それ以外はなかなか誘いにくい、という職員さんのお話からこのコンセプトを設計しました。本当はいつでも誘いたいし、そのためにも気軽に遊びに来れる町にしていきたいとおっしゃっていたことが印象的です。
「ガイドブックに載ってへん町」は、下市町の強みと弱みを考えていたときに、色々なメディアを調べていたのですが全く掲載されていなかったんですよ!
しかし、下市町には奥深い魅力が詰まっています。「白馬と黒馬が5時になったら帰っていく神社」は丹生川上神社下社のことなのですが、白馬と黒馬の2頭を飼っているんです。朝から夕方までは神社の敷地内にいるのですが、17時のチャイムと共に自分で寝床に帰っていきます。
川沿いに見られる独特な建築様式「吉野建」も私は初めてみたのですが、すごく惹かれました。下市町は川が多いので、川のせせらぎを聞きながらノスタルジックな街並み素敵だなーと歩いてたら1万歩以上歩いてました笑
下市町の方々にとってはもしかしたら見慣れた風景なのかもしれませんが、私からすると”面白さ”が詰まった町なんです。そこを伝えたいと思いコピーを考えました!
最後に書いてある「バス、あんまないから、あれやったら迎えに行くで。」というのも、弱みを強みに変換しているんです。下市町はバスの本数も少なく、交通の便が悪いです。それを逆転の発想で「いっそのこと迎えに行ったらええやん、面白そうやん」ということで
おそるおそる提案したところ、「いいやん!」と言ってもらえました。はじめは、「バス、あんまないから、迎えに行くで」だったんですけど、職員の方から、「『あれやったら迎えにいくで』って、『あれやったら』を入れたほうが下市っぽくない?」とアイディアをいただき入れました。下市町職員の皆さんと対話する中で生まれることが多くありましたね。
そして、下市町を熱量高く案内する「もしあれやったら下市案内するで係」を発足させ、まずはメディア関係者の皆様にご案内しました。実際に複数件の取材、露出に繋がりました。
▼奈良の総合情報サイト「Narakko! 奈良っこ」
▼トラベルボイス→Yahoo!ニュースにも掲載
プロジェクト終了後も続く取り組みであるという意識をもつ
半年間のプロジェクトとして捉えられがちですが、受け入れてくださる自治体側にとっては永遠に取り組みが続いていく、という意識を持つことを大事にしていました。半年間で成果を出すことも大事ではありますが、プロジェクト終了後に職員さんだけで自走できる状態を一緒に整えていくという姿勢が重要だと思います。
実は、下市町さんとはプロジェクト終了後、有償でご一緒させていただくこととなりました。下市町との関係性が半年間の任期で終わってしまうのは寂しかったのですが、有償でも継続してお願いしたいと思ってくださったことが素直にうれしかったです。
下市町に小3の次女を連れて行ったときに、朝・昼・夜とそれぞれ職員の方々に町やお店・施設を案内してもらったんです。「そこまでしてくださるのですか...!」と、ホスピタリティの高さには感激しました。
今では家族みんな下市町が大好きになっています。最初に連れて行った次女は、人と人との距離が近いことにすごく驚いていました。町ですれ違う人皆が職員さんと立ち話をしていたり、駐車場で出会った小さな男の子が次女にも話しかけてきたり、ごんたの湯で一緒になったおばあちゃんが優しくし接してくれたり、衝撃を受けたみたいです(笑)東京では考えられないですもんね。
家に帰ってからも次女が思い出話を楽しそうに語るので、長女も興味を持ち始め、3月には長女も連れて下市町に足を運びました。子供たちの新しい学びにも繋がっているのは嬉しいですね。
新たに自治体複業に一歩踏み出したことによって、これまでご縁が無かった奈良の方々とのつながりができました!「NARA ENGINE SALON」に参加して下市町のことを紹介したり、イベントがきっかけとなり奈良の企業さんとお仕事の話に発展していたりします。
挑戦しようか迷っている方はまずは自分の地元から、一歩を踏み出してみてほしいです!
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