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大月市を稼げる町に!マーケティングアドバイザーとして、地域を理解するコツとは

山梨県大月市では、2021年5月から12月までの約7ヶ月、行政に複業人材を登用するプロジェクトを行いました。「広報戦略」「マーケティング」「DX」の3職種7名の複業人材の方々が活躍!

その中でも今回は、マーケティングアドバイザーとして参画した原さんに、自治体での複業に挑戦した経緯や、プロジェクトで意識したことなどを伺いました!

*プロフィール

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原 敬輔氏
新卒で〔株〕リクルート(現・〔株〕リクルートホールディングス)に入社したのち、レバレジーズ〔株〕や〔株〕ウフルといった複数のベンチャー企業でマーケティングを経験。現在は業務委託で企業のマーケティングやPR支援を行なっている。

▼大月市との取り組みについてはこちら


些細なことでも、町の役に立てる

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ーー大月市のプロジェクトに応募したきっかけを教えてください。

北海道の美瑛町でテレワーク体験をしたことがきっかけです。

美瑛町での体験が面白く、そこから地方自治体に対して興味をもつようになりました。美瑛町から東京に帰ってきて、首都圏でも何かもう一案件できるといいなと思っていたときに大月市の案件を知ったんです。大月市でも何か面白いことができるのではないかと思い、応募しました。

少し別の話をすると、「夢をかなえるゾウ」という本の中に「人生を変えるには応募すること」というお話があります。応募しなければ現状維持のままで何も変わらないだろう、という思いもありました。

ーーテレワーク体験とは、どのような体験だったのですか? 

町が住宅やサテライトオフィスを提供する代わりに、町で過ごした魅力をSNSで発信したり、関係人口の構築に向けて、企画を提案するという実証実験です。(現在は有償で実施)

私はフリーランスで仕事もリモートで行っているので、場所にとらわれない働き方について関心があり応募しました。

町長とお話したり、町役場の方に提言したりする機会をいただき、自分がこれまで培ってきたスキルが町の役に立つということを実感しました。

ーーどのような時に、町の役に立つと感じましたか?

細かい気づきを共有したときです。

たとえば、サテライトオフィスの使い勝手に関するもの。具体的には、自分は始業は9時からだけどオープンが10時からなので利用しにくいとか、Macの接続用のケーブルがほしいとか、StationWorkのような個室ブースがあったらいいのでは、といった些細なことです。

また、都市部のコンビニなどでよく見かける充電サービス「ChargeSpot」について、災害時における自治体での活用事例に関する話もしました。

自分にとっての当たり前と、町にとっての当たり前は違うので、その部分を伝えるだけでも町のお役に立てたのではないかと感じます。

”稼げる町”がテーマ

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▲(左)小林市長(右)原さん
「ロケットストーブ」という手作りストーブに関する話を伺ったときに撮影

ーーどのような町の現状から、取り組みがスタートしたのですか?

まずは現状を把握し、今後何に取り組めば良いかの道筋を立てるところまでを考えていました。

町の課題はたくさんあげられていましたが、今回は「稼げる町にしたい」というテーマに対してプロジェクトを進めることにしました。

市長とお話しした際に、大月市は登山客は多く訪れるが、通過されることが多いと伺いました。人は訪れるけれど、立ち止まってはもらえない。これをどうにかしたいということで、稼げる町というテーマに決まり、観光にフォーカスして取り組みを進めました。

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▲日本三奇橋の一つ「甲斐の猿橋」は大月市にあります。

ーー原さんは実際にどのようなことをサポートされたのですか?

同じくマーケティング担当となったMさんとチームを組み、大きく3つのことに取り組みました。

1つ目は実施調査です。
集客する上で課題となっている施設を実際に見学し、なぜ人が訪れにくいか仮説を立て、ディスカッションを行いました。

2つ目はソーシャルデータの分析と地元コミュニティとの意見交換会です。
インスタグラムで、大月市に関してどのような投稿が多く行われているか、大月市に関するタグ約500件のデータを調査し、グルーピングを行いました。

この調査をした際に、大月を盛り上げようと活動しているローカルディスタンスという団体を知りました。もともと東京を中心に活動していたフリーランスの方が、大月に移住してスタートした団体です。市役所の方に繋いでいただき、意見交換をする機会もいただきました。

3つ目は戦略マップの作成です。
大谷翔平の目標達成シートから着想を得て進めたものです。「稼げる町にしたい」という課題に対して、できることを8つの項目に洗い出し、その項目に対してさらに何ができるかということを8つに洗い出したものです。今後の観光力強化に向けて役に立ちそうな戦略マップができました。

地方の課題・日本の課題が身近に

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ーーこのプロジェクトに参加して、何を得られましたか?

普段IT業界の方とお話しする機会はありますが、行政の方とはなかなか無いので、視野が広がりました。

たとえば、社会的に問題となっている少子高齢化や人口減少。東京に住んでいるとなかなか実感しませんが、地方自治体の方と関わると、身近な課題であると感じました。

今回のプロジェクトでは、定例MTGに小林市長が参加されていて、直接お話を伺えたことが印象的でした。

ーープロジェクトの中で、悩んだことはありましたか?

着地点をどこに置くかというのは、悩みました。

プロジェクト終了後に、最終報告会をやるということは決まっていたんです。町としても、アドバイザーに依頼してどうなったのか、という結果を示すにはある程度のものがないといけません。

そのため、住民の皆様や議員さんにも説明をしやすい着地点はどこか、というのは考えましたね。

地域を理解するコツ

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ーーローカルディスタンスさんとの意見交換など、地域コミュニティの方にもお話を伺い、リアルな声を集めたのですね!

地域コミュニティの方を繫いでいただくと、その地域にすぐに入り込むことができるのでオススメです。

美瑛町のときは、活性化協会の方から、町の人たちが集まる「美瑛の未来を妄想する会」(通称:水曜の会、現在は「未来の美瑛を創る会」という名称で活動)を教えていただきました。ひとまず行ってみたところ、様々な方を数珠つなぎでご紹介くださいました。

大月市のときも、ローカルディスタンスさんを架け橋として、地元で頑張られている方や知る人ぞ知るおすすめスポットの情報を得ることができました。

ーー普段からいろいろな場所に足を運んでおられる原さんですが、その他にも地域に関わる上で大切にしていることはありますか?

現地に行って、現地のものを食べて、現地の空気を吸うことです。

プロジェクトに参画して、「あの地域ではこんなものがあって、こんなことがありました」と共有するだけでもバリューになると感じました。自治体の方は、それだけ自分たちの延長には無い視点を欲しているのだなと。

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▲実際に足を運び撮影した、桂川の写真

ーー今後どのような仕事、もしくはどのような自治体に関わっていきたいですか?

これまでの経験を活かして、他の地域でもマーケティング関係の仕事をしていきたいです。大月市がきっかけで山梨県に何回か行きましたが、落ち着いた雰囲気で良いなと思いました。

山梨の他の地域や、九州など全く別の地域にも関わってみると、刺激を得られそうなので挑戦してみたいです!

▼地方創生や複業に興味のある方はこちら!

取材・編集:高岡慧


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