知識の積み重ねとギャップについて

数学は積み重ね

技術の進化が速い業界に居ると、最新の技術をキャッチアップし続けるのはなかなか難しいもので、特に年をとっていくとその辛さが身にしみてくる。知識をインプットする能力も低下しているし、スピードも遅くなっていく。

AI関連の技術については、数学の積み重ねが必要になり、そういう事を地道にやってこなかった人にとっては異次元の話になってしまう。この分野を理解するためには相当の「やり直し」をしないとダメかと思う人も少なからずいると思う。

数理モデルを理解するまでに必要となる前提知識は広く、更に、学生時代にまじめに勉強をしたかがもろにバレる部分もある。一方で、地道に勉強はしていたのにやっぱり分からない部分もある。

数学は積み重ねの学問なので、ある分野の基礎部分を疎かにすると、後で躓く原因となる。現在、その穴だらけの状態を脱するべく、学習過程を遡っている。

知識のギャップ

学習過程を遡れば、内容は簡単になっていくはずなのだが、実際、そう単純な話では無い。より高度な内容を理解するための学習であるはずのものが、更なる泥沼になってしまっている。

と、いうのは、学習した記憶はあるものの、その当時、「どのような理解をしたか」によって、実は理解していなかった事が顕になってしまう。公式があって、それがどのような意味があるのかを理解せず、使うことで馴染んだ状態(既知の状態)に持っていくか、その成り立ちを理解した上で使う、つまり、根底にある思想を理解するのとではかなりの隔たりが有る。

これは、小学生の時に算数が得意だったが、中学以降、数学になった時に躓く場合がもろにそうで、それでも計算力があれば結構なレベルまで行ってしまう。大学の工学系のレベルでも、この計算力という馬力でこなしてしまう人もいる。こういう人が詰まるのは、前例の無い問題に対して式を立てるケース、いわゆるモデリングの時である。

いわゆる飛躍

高校数学と大学数学との間に埋めがたいギャップがある、と思う人は結構jな比率で居ると思う。高校で学習する内容は、大学では「前提」として扱ってしまうが、それにしては随分な落差がある。数学のような積み重ねの学問だと、この落差がよく分かる。こういう学習における連続性の中の「飛躍」が、多くの挫折を生み出す。

じゃあ、解決策はあるのか?今の学習要項では無理。理解できなくても計算力という運用でカバーできるなら、それを貫くというのも1つの方法である。また、地道にやり直すという方法もある。

ただし、高校数学と大学数学のギャップを埋める学習過程はあるにはある。高専は5年という長さを利して、ギャップが起きないように教えている。これが、高専出身者が工学系の業務に強い理由かもしれない。

知識を習得する過程では様々な「ギャップ」が存在する。そのギャップを埋められなくて諦めてしまうのは、その人に才能が無い訳ではなく、他の要因がある場合が殆どである。そのギャップを埋めるために回り道や別ルートがあるかも知れないし、保留にしてとにかく先に進んでしまってから後戻りする事で、そのギャップが埋まる可能性はある。一方で、保留した部分をそのままにしたために、後々で理解が曖昧になってしまう事もある。

何れにせよ、「ギャップ」は自分で埋めない限り埋まらない。

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