心の叫び│無償の愛なんかじゃない。
愛することは、技術だ。
無償の愛なんかじゃない。愛する技術に対して、私はその労働の対価として、賃金をもらっている。愛するだけが仕事じゃない。だけど、愛がないなんて、ありえない。
愛することは、技術だ。
家族でもなんでもない人間に対して、愛をもって接する。愛ってなんだよ。愛は物質じゃないから、渡せない。同じ行動をしてても、愛があるときと、ないときがある。その違いは何なんだよ。愛ってなんだよ。
そんな曖昧なものをもって、仕事をしている。愛されてる、だから、大丈夫。そう思えるような心理的安全性を確保して、いいことも、かなしいことも、うまくいったこともいかなかったことも全部、受け止める。だから、安心して生きてくれ。安心して、失敗してくれ。何があっても、そばにいるから。
いくら私がお母さんみたいな愛を与えられるからって、私は誰の親でもない。ましてや、大人の面倒を見るほど、お人好しでもない。仕事が終われば、通勤中にイライラすることだってある。悪態をつきたくなることだってある。
天性の優しさでも、母性でも、愛でもなんでもない。愛することは技術だ。そうじゃなかったら、仕事以外でイライラしちゃう私は何なんだ。自分の中で、愛がねじれていく。愛ってなんだよ。
無償の愛だなんて、そんな優しいものはない。その場そのときの最適解が、愛と呼ばれる。最適解を導くために、私は学ぶ。たくさんの状況から得た経験知、人間についての知識、心についての知識。それらが、愛する技術を形づくる。
無償の愛なんかじゃない。
私の努力を、私の技術を、そんなふうに言ってくれるな。無償の愛だなんて耳障りのいい言葉で、努力することから目を背けるな。努力なしで得た技術じゃない。いいから、お前も愛してみろよ。愛する技術を身につける努力をしてみろよ。
約一ヶ月半前、上司に「いいね〜、無償の愛だね〜」と言われたときに覚えた違和感。その違和感を言葉にする力がなくて、エーリッヒ・フロムを読んだ。
そして、今日、たまたま同僚と話していて、エーリッヒ・フロムが話題になった。
同僚に話して初めて、私は私に素直になれた。
今日は泣きたい。
そして明日は、同僚にありがとうって言おう。
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