だから，靴を買った。

冴えない。
よくわからないけど，冴えない。

すごく落ち込んでいるというわけでもないし，すごくハッピーだというわけでもない。
やらなきゃなと思うことはあるけれど，日々に余裕があるわけではないけれど，それらに侵されている感じもない。

ただ，冴えない。

よく言えば，ニュートラル。

朝昼夜と用事のある今日は，その間に２・３時間の隙間があった。
何かするには物足りなくて，何もしないには長すぎる時間。

カフェに入ろうにも，街は賑わい始める季節，春だ。
わがままなわたしは，人の気配は欲しいけど，賑やかなのは得意ではない。

用事から用事へ，電車で移動していると，このまま電車に乗っていたい気持ちになる。
このままどこかに運んでいってはくれないだろうか。
いつも行かない街まで車窓を眺めていたら，この冴えない気持ちがなくなりはしないだろうか。

そんなことを思っても，特に実行するわけでもなく。
浮かんでは消えていく，この気持ち。ほんとに冴えない。

だから，靴を買った。

最後に靴を買ったのは，いつだっただろうか。

新しい靴でどこに行こうか。
いつもの道が，少し変わるだろうか。

冴えない。
だから，靴を買った。