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リアル店舗のこれから

前回の続きではありませんが、このままネット通販が今以上に当たり前となった世界はどうなるのでしょうか?
私たちのアパレルの世界で考えてみても実際の店舗の存在意義はあるのでしょうか?
欲しいものがあれば、検索してアイテムを選べば全色がモニター上に並ぶ。更に拡大して細部までチェックできるわけだから、便利になったものです。
あるサイトは、モニター上で商品が360°回転し、自分の着用イメージなんかも投影されたりするとか・・。

見せ方の重要性
20代の頃、毎週のように残業をしながら店頭レイアウトの入れ替えをしていました。
薄い色の順に並べて、この色はどっちが先・・。
たたみ、ハンギング?
隣の商品との連動は?
メインの棚には何を?
大袈裟な話しではなく、レイアウト一つで売上が大きく変わることもありました。目立つところに陳列すれば売れるというものでもなく、不思議と奥に陳列した途端に売れだすことなんかもありました。
もちろん、今も店頭では同じことがおこなわれているわけですが、いつかそんなことも必要なくなるのかもしれない。
モニター上だけなら、クリック一つでカテゴリーが入れ替わる訳ですから。

アナログな時代のわたしにとっては、横に並んだマスに同じアイテムが収まらないだけでも気になって仕方がない。文字の改行も同じで、思うように表示されないのが気持ち悪くてたまらない。( 聞けば閲覧環境で表示が変わるので考えても意味がないとか・・。)
実際のレイアウトは、そんなパズルを時間をかけて収めていくわけですから、きれいにハマった瞬間は感動ものでしたけど。

店頭から感じとることの重要性
わたしは自分の洋服ブランドをやっているので、いつでもお客様の反応が直接見られるよう直営店を設けています。わたしが接客をしないと意味がないので、店員はわたし一人です。
その代わり、週に2回ほどしか開けていません。
一人誰かを雇えば、お店も毎日開けられるし、それなりに売上も上がるのでしょう。
ただ、目的はそこではありません。
どんな方がどんな部分を気に入ってくださったのか?修正、改善点はどこなのか?など、そういった生の声は自分自身が立たないとやっぱりわかりません。お客様の表情一つにも答えはありますから。

わたしが昔、時々お邪魔していた鮨屋がありました。ほぼ同世代のご夫妻でしたが、奥様はお若いのにいつでもお着物をお召しになり、お店の入口にはとても立派で大きなお花を生けられていました。会話も心地良く、味も雰囲気も大変良かった。
特別知られた店でもなく、時には私たちだけという時間帯もありました。
それが、数年前に突然ミシュラン三つ星に選ばれました。
はじめに頭によぎったのはお寿司よりもお店のおもてなしでした。
もちろん味も間違いないのでしょうが、あの雰囲気作りは他にない大きな星の一つだと合点がいきました。(喜ばしいことでしたが、お陰でとても遠い存在に・・)

洋服屋さんと飲食店は比較するものではないかもしれませんが、そんな店頭ならではの体感というものはやはりあります。

店頭を煩わしいと思う人にはもう一度そんなところも見ていただきたい。
皆さんにもそれぞれのお気に入りのお店があると思います。
内装は?棚の素材は?BGMは?気にしてたことはありますか?
陳列一つの演出で品物の魅力も大きく変わります。
そんなお店で体感する様々な感性が、みなさんの生活をもっとより良いものにしてくれるはずです。

店主の色が反映されたお店をこれからももっともっと見てみたい。

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