特別では無いただの自分を受け入れるとき⑦~主人の家族と安心の中~

主人は感情の起伏が無く、とても心穏やかな人である。現状に対しての不満を口にすることはもちろんあるのだが、そのことに多くの時間を割かない。

初めて会った時は学生だったのだが、私は「世の中にこんな人がいるんだなぁ」と、驚きを持つと同時に興味を抱いたの覚えている。当時精神的に不安定だった私は、誰に縛られることのないとその生きやすそうな精神に憧れ、どうしたら自分もそうなれるか、というのかの研究対象にしていたのである。

付き合って結婚生活を送る中で、主人に比べていかに自分が愚かなのかということを散々と突き付けられていったのだが、その一つ一つの問題と課題に向き合っていくうちに、遂に、私は長い時間をかけて、自身の心の平安を手に入れる術を得たのである。

主人は、自分の両親が喧嘩をしたり、人の悪口を言っているのを聞いたことが無いという。そんな馬鹿なと当時は思ったが、主人の両親と会話していくうちに、これは多分本当だろうという結論に至った。

主人の両親、家族は常に安定している。自分を大切にして他者を大切にすることが当たり前な中で生活をしているからである。自分に対する不満もなく、それ故に他者に対する要求やコントロールといったものが表に見えてこない。

この家族には、口で言っているわけでは無いが「感謝」の気持ちがその雰囲気からにじみ出ているという点に、何か大きな強さを感じている。

当初、私にとってそれは恐るべきものであった。正直、怖くて、とても敵わないし、戦える相手ではないと感じたのだ。いや、戦うつもりはなかったけれど、私は当時は常に、臨戦態勢な気持ちの状態にあったからそのような気持ちになったのだと思う。それは「人間関係において、どちらが優位に立てるか」といったものであった。

そして、この家族の生活は、誰にでも訪れる「死」に対しても、深い考察をを私に与えてくれて、これからの私の在り方を決定付けてくれた。



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