00年代のプログレッシブハウスを思い出すエントリ #09

Holden & Thompson ‎– Nothing
Loaded Records 2003

これに関してはわざわざ書かなくても忘れる事はなさそうな曲なんですが、この後Border Communityから、牧歌的な表層の裏に隠しきれない狂気と闇を内包した作品群を世に送り出し、ついにはクラブミュージックの範疇から2光年くらい遠くに行ってしまった、天才James Holdenの作品と考えると感慨深い。とはいえ、もう既に変な音は散りばめられてるけど。

ゴリゴリした図太いベースラインとボーカルを軸に、冷たい炎を撒き散らしながら突き進むオリジナルは、今になって聞くと同年にBorder Commnunityからリリースされている「A Break In The Clouds」との共通要素も多く聞こえてくる。
よりトランシーに走る93 Returning Mixは、より以前にリリースされている「One For You」や「Solstice」あたりの音作りに近くも聞こえ、本人的にはこっちはオールドスタイルという事なのかもしれないが、これもまた素晴らしい。

93 Returning Mixに関しては、近年になってからArminが引っ張り出し、ミックスに組み込んだりして、トランス界隈で再評価されてる模様。
トランシーでありつつもトランスでは無い。filterheadsあたりにも通じる、ハードテクノよりの土台にドラマティックな上物が乗ってくる、ジャンルをクロスオーバーした音はこの時期特有のものかも。

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