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ベンチャー企業に広報は必要か

アノニギワイ公式noteとは?
ブログとオープン社内報その中間のような位置づけで、着飾らず僕たちの素直な思いをお伝えするnoteです。
本日のライター:豊島

突然ですが、ベンチャー企業に広報は必要だと思いますか?

僕の答えは「Yes」。

しかし、多く経営者が「起業時点では広報は不要」と考えているのではないでしょうか?

今回は、「広報を理解した上で、事業にいるかいらないか考えよう」というお話です。

若き広報マンの悩み

先日、noteを散策していて、以下の記事を拝見しました。

個人的には優れた良記事だと思っていて、今まで拝見しなかったのがもったいないぐらい。なにやってんだ昔のオレ...。

この記事の中で、株式会社秤 代表の小川さんは以下のようにおっしゃっています。

若手の前向きな広報パーソンと思われる方の現場の課題に触れることで、自分も結構な年齢になったなーと感じつつも、若い方達が上司や経営者からの指示で動く際、それを指示する人達の広報に対する考え方が悪い気がして、実直にがんばっているみなさんのリソースが無駄になってることも多いのではないか?と思いました。

太字の部分は、僕が太字にしたのではなく、元々太字の部分です。

これについては、僕も思うことがあります。

あるベンチャー企業のお話です。その企業の立ち上げに僕の友人が参加していてメンバーの方と飲ませてもらう機会があったんです。

事業内容もとても面白くて、理念もしっかりしてる。メンバーの人柄もよく、絶対成功してほしいと心から思える会社でした。そこで、考えられる広報戦略の話を雑談としていくつか提案しました。興味はもってくれたものの反応としては散々。

ある方は「今は広報より、広告かな」、またある方は「広報って意味あるの?一時的なもんじゃない。」などなど…。

感覚として大企業ほど広報に一定の考えを持っているなとは思っていましたが、ベンチャーにこれほど広報が嫌われていようとは。

それから多くのベンチャー企業の経営者にお会いしましたが、広報に理解があるのは本当に一握りでした。

前段の話に戻りますが、小川さんの「指示する人達の広報に対する考え方」という問題は事実あると思います。

記事の中でも指摘されていますが、会社ごとに広報活用レベルに高低があります。しかし、会社の規模が大きいからレベル差があるわけではありません。

もちろん大企業ほど、広報が必要にはなってくれるでしょう。ただ、多くの職種がそうであるように、大企業だから使える資産やリソースが多いのであってその活用を妨げるものにはならないはずです。

「指示する人達」が広報の力をどのレベルで理解しているか。そしてその理解が意欲的な広報パーソンに何をさせるか繋がっていて、そこにギャップがあるために悩ませている。この問題の本質はそこではないでしょうか。

広報のレベル

では、広報のレベルとはどんなものでしょうか。記事中にもある3つのレベルを少しアレンジしてお伝えしたいと思います。

レベル1 広報活動をして露出を作る

広報パーソン以外の多くの方が「事業広報」と言っているのがこれだと思います。広報活動は売る活動の一部として対メディアに商品を露出することが目的であり、もっと言うとTVCMする予算がないから、その代わりとして機能させたい。みたいな考えです。

僕としては、この考え自体は間違いじゃないとは思います。この考えに至らない経営者にも多く出会ってきました。TVに出ること自体すべてお金がかかる(広告出稿として露出)と思っている方も多い。そんな方々よりは1段階上にいると思います。

実は巷で「広報をやりなさい」といっている専門家の多くが、レベル1の実践方法を教えることで利益を稼いでいたりします。僕自身すごく楽しみにしていたセミナーの内容がこの話でがっかりしたことが何度もあります。

口当たりはいいのですが、広報活動の理解としてはとても浅いです。

レベル2 事業戦略に広報活動を取り入れる

ここまでくるとかなり有益に広報を使っているという気がします。

商品の戦略に広報を取り入れる活動です。どうしたら露出が取れるのか、露出をとるためには、どういった売りを作ればいいのか。時には商品をそのものを変えながら、ターゲットを明確にして広報的価値を創造します。

ある会社の実例を紹介しましょう。その会社は、コンセプトカフェを期間限定でオープン。目玉商品としてパイナップル丸ごと1個にトロピカルなストローをぶっさすというある意味乱暴な商品を作ったんです。(もちろん店のコンセプトには合っているものです。)

この商品は個数限定でかつ安価でした。店側売上としては、ややマイナスな商品。それでもこの店舗がこの商品を作ったのは、3つの効果を狙ってのことでした。

①メディア向けの目玉商品とするため、②SNSでの拡散効果を狙うため、③広告のインパクトをつくるため。

結果、メディア露出を100件ほど獲得し、行列ができるほどの店舗になっていました。

このようにあらかじめ広報を事業戦略の中に入れ込み、広告とも連動することで利益につなげていく。これがレベル2の広報だと思います。

レベル3 ニーズを作り出す広報活動

レベル3になってくるとそもそも需要を作り出そうという活動になってきます。つまりこれまでにない価値を作り出す広報活動です。

この手の広報活動は、わりかし昔から行われていて、「土用の丑の日」や「バレンタインデーにはチョコを」もその手の広報活動の一種だと思います。

近年では、社会活動とリンクしていることが多いです。小川さんが記事でも紹介されているNIKEの「Dream Crazy」もその一つです。このキャンペーンでは、NIKEは、「黒人や有色人種への差別がまかり通る国に敬意は払えない」と、有色人種差別や暴力への抗議のために試合前の国歌斉唱中に起立することを拒否したアメフト選手(コリン・キャパニック選手)を広告に起用しました。

この活動においてNIKEは、自分達は有色人種差別を許さない企業だと明確に示し、同じく有色人種を許さない人たちのニーズを獲得したわけです。

この企画は一時大炎上し株価が3.2%減、時価総額が32億ドル(約3520億円)減まで減ったそうですが、結果としては、大きな収益をもたらした企画になりました。

アノニギワイでの広報

さて広報のレベルについてお伝えしてきました。最後に当社での広報事情をお伝えしたいと思います。

当社は現在、「函館での事業承継のカルチャー化」に取り組んでいます。単的にいうと「函館では事業を無くすのではなく、託すという文化を創ろう」としているんです。

そのためにサービス開始前に理念を伝えるクラウドファンディングを実施しました。これにより、サービスリリース以前に多くの方にアノニギワイを知っていただくことにつながりました。そこからいただいたフィードバックは、サービス改善や新しいアイデアにつなげています。

事業戦略に広報を取り込んでいたからできたことで、事前に考えていなければ実現不可能だったと思います。ここまではレベル2です。

今、レベル3の広報として慣習の変革に取り組もうとしています。すなわち「後継者がいない事業は、廃業する」という当たり前を壊そうと思っているんです。

これには絶大な労力が必要ですし、正直どうやったらうまくいくのかわかりません。このやりがいある広報活動をぜひ成功させて、胸を張って「俺はレベル3の広報を成し遂げたぞ!」といえる広報パーソンになりたいですね。

さてベンチャー企業に広報は必要か?聞いてみていかがでしょうか?いろいろお考えはあると思いますが、広報活用の広がりを認識した上でご判断いただければと思います。最後に小川さんの言葉を借りしておしまいにします。

自分達はどういう企業やブランドだと明確に示すことが広報であり、だから広報はもともと戦略である。

引き続きアノニギワイをよろしくお願いいたします!

株式会社アノニギワイ 豊島 Twitter
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株式会社アノニギワイ(公式HP)
https://anonigiwai.jp/

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