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平山は”木漏れ日”に何を見たのか? 〜小津映画「東京物語」との類似点とは〜

「Perfect Days」は現代社会が時代とともに失いつつある『大切なモノ』を気付かせてくれるそんな映画だった。
そして、小津安二郎へのオマージュもここにあった!

平山(別所広司)にとってニコの存在は、「東京物語」における紀子(原節子)であり、平山周吉(‎笠智衆)の唯一の理解者である点は同じ設定である。

ストーリーとしては、東京の爆発的に成長する都市風景と汗の匂いが染み付いた昭和的下町の暮らしのコントラスト、社会的マイノリティーたちへの温かい眼差し、そして平山の人生の明暗とが光の濃淡が織りなす”木漏れ日”と重ね合わせた描写が印象的であった。

これらは、充実した完全なる日々とは今を楽しむことができるかどうかを我々に暗示してくれているようだ。
つまり日々の喜びも悲しみも人生の全体から見ると一瞬一瞬の連続である。それを現在という一つの写真のフレームのように切り取ることができるのだ。

Perfert Daysを実現するためには、今日という日々の連続に小さな変化や新しいモノを発見する心の余裕が現代人は必要なのかもしれない。


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