見出し画像

グループホームの代表さんに話を聞いてみました。

今回、神戸でグループホームを展開している「Lit(リット)」の代表の小田村恵子さんにインタビューしてみました。

グループホームとは?
グループホームとは、障害を持つ利用者が、スタッフの介助を受けながら共同生活をおくる施設です。マンションやアパー ト、戸建てなど一般の住宅を利用し、社会福祉法人や NPO 法人、医療法人などが設置します。

■福祉の世界に飛び込んだきっかけや、Litを立ち上げた経緯を教えてください。

小田村さん(以下、小):元々は東京で美容関係の仕事をしたり、沖縄に住んでリゾートバイトをしたりしていました。

小:沖縄に住み始めて二年経った時に祖母が認知症になって、神戸に戻って介助することになったんです。
その姿をみた母に「介護向いてるんじゃない?」と言われて、自分自身もしっくりくるものがあり介護の世界に入りました。

小:けど、介護業界って一人ひとりにあったサービスではなくって、ルールに従ったことしかしないっていう感覚があって………。
それがフラストレーションになったり、ふと将来の不安ができたりで一度諦めて不動産の営業に転職したんです。

小:だけど、二・三年経って自分の祖母や、老人ホームのおじいちゃんとおばあちゃんと接していた日々楽しかったなぁ、と日に日に強く思うようになって、けどヘルパーとして戻るのも自分の進みたい未来像と違うなぁ………と。

小:勤めていた不動産会社が丁度その頃、NPO法人と連携してホームレスの人に住居を提供し社会復帰をしてもらう支援をしていました。
ただ、提供したは良いが、認知症だったり、知的障害を持っていたりでなかなか住みづらいっていう方が多かったんですね。
そういう人に対して、一人ひとりに合った支援を提供できる仕事がしたいなぁ、と思ったんです。
そんな自分の思うビジョンを現実化していこうとなったら、やっぱり会社を立ち上げるしかないっていう結論になりました。
でも、元々のきっかけは「おばあちゃんっ子だった」っていうのが一番かもしれませんね(笑)。

■Litが確立したきっかけはなんですか?

小:Litは当初訪問介護を中心としたサービスを提供していました。
当時のスタッフは自転車で利用者さんの家を走り回り、休憩時間も駐車場で立ちながら食事を摂る、というような過酷な状況でした。
そんな状況のまま一年経った夏ぐらいに、売り上げを上げてLitを安定させようとする中核スタッフと、新しく入ったスタッフで思いのすれ違いが起きることが多くなりました。

小:新しく入ったスタッフから「こんなスタッフを駒のように扱う会社なんて誰も続きませんよ。」と言われて、改めて売り上げを上げることと、笑顔あふれる職場とどっちが大切だろうって考えたんです。
そうしたら自分の今後なりたい会社のビジョンも後者だ、と気づいた時に、中核スタッフとも何度も話し合いを重ねました。

小:でも、売り上げも下げられないってなった時に、訪問介護中心ではなくて、グループホームだなと言う風に舵を切り直しました。
自分たちにしかできないことは何だろうと探り始めたのが方向性が決まったきっかけです。

■そこで不動産業界の経験が活かされたんですね。

小:そうそう、役に立ってるんだよ、不思議なことにね。
本当に不動産業界の経験がなかったら今のようなグループホームをやろうっていう発想にならなかったのかもしれない。その経験があったからこそ、グループホームの物件にも鼻が利いています。

■代表としてどんなことを気にかけてスタッフと接していますか?

小:相手がこうしたいと思ったことにはすべて肯定的な意図があると思って聞くようにしています。
極端なたとえで言うと、テロリストだって肯定的な意図があるんですよ。
勿論、やり方は間違っていると思うけど、この国を良くしたい、この思想を広めていきたいっていうね。
だから「給料上げてくれ!」とか「人が足りない!」っていう要望に対して、じゃあ給料を上げたら相手にとってどんないいことがあるのか、人を増やせばどんな事ができるのか、結果利用者さんにどれだけ充実したサービスを提供してあげられるのかっていうのをかみ砕いていく事を意識しています。
今いるスタッフたちが闇雲に私利私欲でただ要望を言っているわけじゃないという信頼感もあるので。
そう意味で「戦わない」というのもモットーにしていますね。
私が肯定的であると、自然とスタッフも利用者さんに対して肯定的に接してくれると感じています。
人って人から受けた事しかできないから。

■どういう経緯でLitを入居する人が多いですか?

(小)やっぱり病院や役所の紹介だったりとか、あとは相談員さんみたいな人が情報を集めていたりとかかな。
私たちが入居者さんと知り合うって事はほとんどない。
それが私もフラストレーションだったりします。
神戸市でも引きこもりの方が一万六千人いると言われていて、約人口の一%が引きこもりなんですよ。
そういう人たちに今後手が届けばいいな、とすごく思っています。
今の課題とかは親なき後の人生っていうし。だから、家から出たくない人程Litを利用してほしい。
とりあえず部屋から出なくても成立する住環境は整えてあるので。
でも物理的に一度実家を出るわけだから、その一歩は大きいと思うんです。
けど今って受動的でしかグループホームを受けれない人が多いから。
最近はInstagramとかYoutubeとかで利用者さん向けのツールを作りたいな、って思っています。
そういうSNSとかを見て、私も家を出てみたいって思ってくれたら、いいなと。

■そんなLitさんのここは他のグループホームには負けない強みって?


ルールとかをホームで決めていないところ。もちろん門限とか、禁酒だとか大まかなルールはあるのだけれど。
たとえば門限にしても17時の門限を過ぎるとして、事前に教えてもらっていればOKです。
グループホームによっては一日のスケジュールをきっちりと決めてあるところもあるけど、
Litではそういうところは利用者さんに任せています。
だって自分がそれをされたら嫌だもんね(笑)。
なので、一人ひとりに合った支援というのを手作りで作っているというのが強みですかね。

■どんな人にLitを利用してもらいたいですか?


何か今よりも良くなりたいって人。その理由はなんでもいいんです。
家で引きこもってると親がうるさいから、今より自由に過ごしたいとか。

■今から福祉の世界に飛び込む人に心がけて欲しい事は?


自分の行動は必ず誰かに影響するっていうことは、心に留めていて欲しいです。
そして、自分の行動を誰かのための動機付けの行動に志して欲しいです。
今すぐには難しいかもしれないけど、誰かの為に行動するっていうのが素敵だと思います。

■最後に小田村社長の落ち込んだ時の気持ちのやり過ごし方は?


寝る!(笑)
もう生きていたくないなって思うときはよくあります。現実ってやっぱり辛い事の方が多いから。
私だってビジョンだけ語っていけたらどんなに楽なんだろうって。
でも死にたいって思う程現実に期待しているんだって思います。
死にたい気持ちがある程、本当はこうやって生きていたいんだ、って思いがあると思う。
だから、生きていたくないって思うとき程、叶えたい夢があるんだって思いながら、寝ます!
あとは人に話す!人に甘えなきゃやってられない!だから皆使える制度は使って、甘えるときは甘えてください!

■ありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?