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中華飯店の男 (前編)




さて、皆さまは前にお話した
「事を終えた後のそれ」
という記事は
読んでくださっただろうか。


https://note.com/annyon11/n/nf90bf21ce9dd

今回はその時に登場した私の友人の話

『華やかな男性事情』
についてニュウエピソードが入ったというので
お話したいと思う。


ある晴れた日曜日
いつもの代官山で待ち合わせをして
いつものレストランでランチをとった。

私達はこのお店を大変贔屓しており
店員さんもまた私達の事を贔屓してくれる素晴らしいお店だ。

二人とも休日だという事で
ボトルワインを頼んだ。

「最近会えてなかったけど元気にしてた?」と
互いに最近の仕事の事、読んだ本の情報交換なんかに花を咲かせた。

特に最近読んだ本のレビューに2人は白熱して昼間だと言うのにあっという間にボトルが空いて本日の大目玉、恋愛について話すまでにしっかり酔っぱらいの土台が出来上がった。


2本目のワインを頼んで

「私ね、ここ数年でダントツ1位!って人見つけちゃった‼︎」

と彼女はいきなり話始めた。

彼女は大変モテるので周りには沢山の男性がいて、
複数人と関係を持っているのに
そんな彼女がいう「1番」はかなり興味がある。


ある日彼女は仕事の会食で
港区にある某中華飯店に行った。


この時の会食はかなり大事なもので
彼女は目先のクライアントに細心の注意を払い
全神経を注いでた、つもりだった。

真剣な話をしていた時
ふと斜め左の席が目に入った。

そして彼女は目をまん丸にした。


そこには彼女が幼少期から思い描いていた理想的な
男性がいたのだ。

年齢は30前後で
彼は程良い筋肉を身につけておる事が服の上からでもわかり
黒のタートルネックのセーターを着て
髪はセンター分けのデイカプリオhair漆黒色バージョンで清潔感があり
切れ長目で鼻は高く筋が綺麗だった。
例えるならタキシード仮面の様らしかった。

彼は会社の上司らしき人と来てるらしかった。
いや、かなり親しそうだったので父親かもしれないそうだとしたらかなり好感度は高いと。

彼女は目が離せなくなり久しぶりに「この人を私のものにしたい」と思った。


その為には何とか自分からアクションを起こさないと。
そうは思ったものの、相手とこちらの席も離れているし店員もすぐ側でいつ呼ばれてもいいように軍人なみにピシッと立って待機しているしこちらが手を挙げると直ぐに来てくれる素晴らしい店なのでお手洗い以外席を立つ事が難しくお手洗い行くにも今は行ける状況じゃないほど大事な話をしているし中々作戦が思いつかないし、そもそも大事な会食中なので大胆な事は出来ない。


そこで考えた末に辿り着いたのが
やはりこれしかないと、
「一度きりのお手洗いに行く途中に彼の席の近くでハンカチを落とす」
というなんとも古典的でオーソドックスな
手段で彼に近付こうとした。

それを聞いた酔っぱらいの私は
普段の彼女からは想像出来ない姿なので

大爆笑してしまった。

私は思わず彼女に
「大胆な事出来ないって言いながらハンカチ落としなんてめっちゃ大胆だけどね?」
と笑い転げながら言うと彼女は
「そうかしら?」
とおとぼけ顔で言った。



後編へ続く

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