春寝

あっちもこっちも寂しくてどうしようもない
どうしようもない
甘いのが苦手なあなたのために
気持ち少なめにお砂糖を量ったときの
五グラム分の気持ち
静かに薄れゆく記憶の対岸で耳を澄ませる、
ペリエの泡が弾ける声

衰弱した生命が我が身を噛むとき
肉を引き裂く撃力も果て
滑らかな皮膚に残された
消え入るような赤みの哀しさ

重ねてきたいくつもの過ちのうち
一体どれが致命的だったのか
五グラム分の過ちで
うまく膨らまなかったスポンジケーキ
氷が溶け出す音を聞いた、
あの時はどんなに小さな音も聞こえた

白昼領す小糠雨
微かに赤い斑点をぼんやりと湿らせて
尽きていく眠りと
何か変われば何が違ったのか
いずれ夢の先では夢を見られず
一人ではうまく眠れない

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