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叶えたい夢と共に生きているか

 仕事の問題、お金の問題、時間の問題など 、目の前の現実的な問題に躓いていて、夢に向かって行動できるような状況にない。でもそれではいけないと思って、夢を追うために意を決して生活を変えてみたのに、そこでも新たな問題が発生して、そこに手間取っているうちに夢はまた遠のく――。せっかく動き出せたと思ったのに、心が折れるような事ばかりが続き、そうこうしているうちに、いつの間にか夢はまたどこかに置き忘れて、現実的な事にばかりかまけている。目の前の事がうまくいかなくて、追い込まれれば追い込まれるほど、ますます現実的な事しか見えなくなり、心はその問題に囚われて、夢などどこに行ったか分からない状態になっていく。目の前にある自分を苦しめる問題は、どんどん心を侵食していって、いつの間にか自分の思考を乗っ取ってしまう。

 目の前にある現実的な問題は、ネガティブな意味で我々を夢中にさせる。我々はそれに苦しんで、嘆く。そして嘆いていても解決しない、と気持ちを奮い起こして前向きになるよう試みてみる。「この苦しみにはきっと意味がある」「ヒントがあるはずだ」と辛い現実を好意的に解釈して、未来はきっと明るいと立ち上がる。しかし現実は非情だ。希望的観測は見事に打ち砕かれ、冷たい現実に打ちのめされる。蟻地獄にはまったように、這い上がろうとすればするほど上からさらさら砂が落ちてくるだけで一向に上に登れない。次第に無力感に苛まれ、登る事も挑む事もできず立ちすくむ。

 心が絶望の状態にあると、見るものすべてが絶望色に見える。目に映る景色が絶望的であればますます悲観的になるのは避けられない。とはいえ、生き延びるためには何かしなければならないのであって、目の前にある絶望の中から比較的マシなものを見繕って手に取る。マシなものを取ったからといって、それが喜ばしいものかというとそんなはずはなく、心のモヤモヤする感覚に対して「最悪よりはマシな方」と言い聞かせて日々過ごす。ではこのモヤモヤする感覚は何なのか。それは「自分が本当にやりたい事をやっていない」というフラストレーションだと思う。自分のやりたい事、夢があるはずなのにできない現実、夢を叶えるために準備しているのに夢に近づくどころか、目の前の事に忙殺されて疲弊している現実。それに対して、「嫌だ」「つまらない」「辛い」という心の声がモヤモヤの正体だと思う。

 夢の実現を目指していたはずなのに、いつの間にか目の前の事に忙殺され、呑まれて、そこに何とか対処するために生きている。まずこれを解決しなくては、これさえ解決すれば何とか安定するはず、と言い聞かせながら。しかし残念ながらそういう事は次から次へやってきて、気づけばあっという間に月日が流れてしまっている事に気づく。目の前の不足な事が満たされたら、夢への階段を上り始められる、努力し始められる、と思ってきたが、そうではなかった。目の前の現実が思うように満たされるなんて事はなかなか実現しない。そうなると、完成しない現実を延々追い続ける事になってしまう。

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