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1008_食べてみて

【140字小説】
食べてもないのにそれが美味しいかなんて分からないじゃない。そう言ってナイフとフォークを優しくない扱いで動かしながら彼女は肉を切る。フォークで刺したレア肉は、てらりてらりと赤い血が滴る。口に運ぶと唇にはその血がつく。「美味しい?」私が聞くと咀嚼しながら答えた。「うーん、分かんない」

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