猫嫌いは罪なのか その3

かくして始まった猫2匹の生活。

ここまでくると紛らわしいので先住猫を「T」
新参猫を「G」とする。

よく聞く話で、猫嫌い、犬嫌いと言っている人ほど
実際に飼うとハマってメロメロになる、というものがあるが
私は例外らしくちっともメロメロにはならない。
確かに情が湧いて「可愛いな」と思うことは多々あるが
猫のために何が何でも、という気持ちは微塵もなく
頼むから、こちらの時間や空間の邪魔をしないでくれよと思ってしまう。

だから、動物とか植物、作物という
生きているものが好きな人って、本当に慈悲深いと尊敬するばかり。
そして「自分はなんて勝手で利己的な生き物だろう」
とゾッとするのだ。

そんな私に飼われる猫も気の毒だが
その点は猫好き夫が穴を埋めるだろうから、まぁ、良しとして。

Gがきて一週間、二週間と過ぎていくが
お互いの距離は変わらず硬直状態が続いていた。
新参Gは、怒られようと猫パンチをくらおうと
めげずに謙虚に「仲良くしたい!」とアピールし近寄っていくが
先住Tは決して受け入れない。
「嫌じゃ。怖いんじゃ。あっちいけ。」とシャーシャー言っている。
でも、きっと、あんまり本気じゃないのかもしれないようにも見える。
本当に怖かったら、Gもそんなには近寄らないと思うからだ。

とにかく優先してTのストレスがたまらないように
いつも以上に目を配り、なるべく過ごしやすい環境を整えていく。
もし、このままであれば、別々の場所を用意したり
あまり顔を合わせないような工夫が必要かもね、なんて夫と話し合う。
あれこれ心配しても仕方なく、この二匹の猫たちを信じて
流れに任せるほかあるまい。そう話した。

この世には猫好きの人や、実際に猫を飼っている人が多いらしく
夫は人から聞いた経験談を参考に、あれやこれやと考え
ほぼ毎日、ホームセンターに通っては猫グッズを揃えていく。
Tだけの生活の時は、特に何も必要なかった。
カリカリと水、トイレがあれば
あとは同じ空間で過ごせていたからだ。
あとは外に出るときのリードがあるくらいだったかな。

ところがGが来てからは、それらが2倍になったほか
キャットタワーがいるだろうとか
外に飛び出していかないようなガードが必要とか
また、小さいのでいろんなところに潜り込むのを防ぐため
隙間という隙間が段ボールで埋められていった。
そう。Gを最初にケージから出したとき洗濯機裏から中に潜り込んでしまい
大慌てで救出する際に私たちは何かを壊し
一瞬で洗濯機が使えなくなったので結局買い替えた経緯があったからだ。

こうして着々と我が家は猫屋敷へと変化を遂げていった。
段ボールとガムテープに囲まれたリビング・・・。
そして抜け落ちる毛にも苦戦していた。
コロコロがあっという間になくなる。
猫が一匹増えるだけでこんなにも違うのか、と私は疲れ切っていた。

でも、保護を決めたときから責任は発生する。
責任は果たします。ええ。果たしますとも。
それが唯一のモチベーションだった。

つづく

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