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シナトラ研究-14: 大切♡シナトラの音楽を知るための大資料~シナトラ・コンプリートby 三具保夫●2015

シナトラ・コンプリート

シナトラの音楽を日本人として知るには三具保夫氏著の「シナトラ・コンプリート」。シナトラの米国で正規販売されたレコードを、SP、シングル、LP、CD毎に解説し (ただし最初の部分のコロムビア時代は30cm LPだけがリストアップされていた)、興味深いシナトラ情報や時代背景も盛り込んでいて、サンプルに目を通しただけでも読み物としても面白いと感じた。在庫切れで入荷時期不明とあり、古本は1万円近くする。

三具保夫 プロフィール

1948年、東京に生まれる。東京外国語大学英米語学科を卒業後、某大手エレクトロニクス・メーカーに入社。勤務する傍ら、1981年にシナトラ・ソサエティ・オブ・ジャパンを設立。2005年に退職後、現在は、ジャズやスタンダード・ヴォーカルの名盤をリリースするSSJレーベルを主宰し、シナトラをはじめジャズやヴォーカルの批評やライナーノーツも数多く執筆。ラジオの音楽番組の構成・DJもつとめる。2007年、日本初の評伝『シナトラ』(駒草出版)を出版(本データは2015年に掲載されていたものです)

シナトラ・コンプリート

コロムビア時代のアルバム(サンプルで閲覧可能)


私はシナトラのコロムビア時代の若々しい艶と伸びのある声も好きなので、サンプルに上がっていた以下のアルバムについて好奇心全開で読み進めた。色鮮やかなアルバムカバーの数々が惜しげもなく公開されている。


Frankie (発売1955年・録音1943〜1951年)

©️シナトラ・コンプリート

これは、1955年に発売された初のコロムビア発シナトラ30cm LP。

時代背景
1948年 33 1/3/min回転のLP (Long Playing) 時代到来。コロムビアは1948年6月21日にLP発売を発表し、6月28日にシナトラのThe Voice of Sinatra アルバムを25cm LP として発売。コロムビアのLPの第一弾となった。
以前は 78/min回転のSP (Standard Playing)。ディスク素材もシェラックからビニールになり、耐久性と音質が向上し、「ハイファイ時代の扉を開いた」

「シナトラがシナトラらしかったのはコロムビア時代では1943年から1947年」。シナトラは1940年代に後半から人気が低迷していて1952年にはコロムビアから契約を解除されているが、1955年はキャピトルに移籍して人気が復活していたので、コロムビアはコロムビア時代のシナトラの歌を集めてこれらのアルバムを発売。

他、以下のコロムビア時代のアルバムがサンプルとして読める。ただ、アルバムの解説と同じくらい時代背景やその時々のシナトラの話題に割かれていて、横道情報を調べてもっと知りたくなり、なかなか、読み終えられない。

The Voice (発売1955年・録音1944〜1947年)

©️シナトラ・コンプリート

1946年に発売されビルボードのアルバムチャートで1位になった4枚組のSPアルバム・The Voice of Frank Sinatraをベースにしている。このアルバムに収録されているLauraはシナトラの親友だったTony O氏によるとシナトラのお気に入りだったとか。
終戦の年1945年にシナトラはどんな曲を録音していたかなど、なども読める。

That Old Feeling (発売1956年・録音1945〜1948年)

©️シナトラ・コンプリート


1948年ほぼ一年続いた音楽家のストライクにより録音時期が限られた。
このアルバムで好きな曲はBlue SkiesとThe Nearness of You。

Adventures of the Heart (発売1957年・録音1949〜1951年)

©️シナトラ・コンプリート

シナトラ低迷期の作品。シナトラのコロムビア時代のA&R (Artists & Repertory)担当であったマニー・サックスとミッチー・ミラーについて読める。

Christmas Dreaming (1957年発売・録音1944年〜1950年)

©️シナトラ・コンプリート

ここで一部が聞ける


The Frank Sinatra Stories (2枚組。発売1958年・録音1939〜1952年)

©️シナトラ・コンプリート

Harry James楽団の時代の2曲、CirbirbinとAll or Nothing at Allも収録。
All or Nothing at All はこれまで読んだ伝記で知ったのだが、トミードーシーがこの録音を聞き、シナトラに興味を持ったきっかけとなる曲。生誕100年に米国のHBOで放送された4時間のシナトラ・ドキュメンタリーのタイトル、All or Nothing at All もこの曲からきている。Harry James 時代にリリースした時は8000枚しか売れなかったが、「音楽家スト中の1943年に同曲がシナトラ名義で発売されると、ビルボードで一位」になりミリオンセラーを達成した。

このアルバムで他に目を引く曲は:
Soliloquy  > シナトラのお気に入り 
Ol' Man River > シナトラのお気に入り
Begin the Beguine > Harry Jamesがシナトラが最初に"The Rustic Cabin"でこれをうまく歌っているのに感心し、楽団に誘うきっかけになった曲
The Birth of Blues ↓> あるシナトラファンがこれに惹かれたと話していたのを思い出す

April in Paris ↓ コロムビア時代 > 熱唱している

April in Paris ↓ キャピトル時代 > 熱唱している

Laura > シナトラのお気に入り
One for My Baby > シナトラの有名な酒場曲
Put Your Dream Away ↓> シナトラのお葬式で家族一致で選んだ曲。シナトラショーの最後に使われていた


シナトラ研究 資料


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