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やっと理想の収納方法に辿り着きました【私の水引収納】


水引を結ぶことを仕事にしてから、何年も何年も悩んできた水引の収納方法。

2022年春、やっと理想の水引収納方法に辿り着きました。

一般的な水引は三尺、約90cmで販売されています。個人向けも、業者向けもそのサイズは変わらず、一部、長尺なもの、メーカーが短くカットし販売しているもの等がありますが、基本は90cm。

皆さんなら、この約1mの細長い代物をどうやって収納しますか?
ましてや、折ってはいけない、できれば寝かせて収納する(立てない)、そして色や種類は数百以上あるというこの繊細な日本の伝統的な素材。

収納難易度、高すぎませんか?

水引のお仕事をされている方、講師業の方からすると、そんなに多くないのかもしれませんが、私の今の常時手持ち数は約4万〜5万本程。細かいものを含めると100種以上の水引を常に持っています。さて、その大量の細長い代物、現代のマンション事情や狭小住宅の中で、どのように収納するのが正解なのでしょう。。。
私も、所持本数1000本程の頃から、悩みに悩みながら色々な収納方法を試しました。

その中で、2022年春、やっと理想の収納方法に出会え、水引収納ストレスから完全に解放された今日。やっと、多くの方から毎月のようにいただいていた「どうやって水引を収納していますか?」という問いに、最善の回答をお返しする事ができるようになりました。(本当に嬉しい!)

これまでの私の収納方法やNG例とともに、私が行き着いた収納方法についてご紹介したいと思います。



水引の収納方法と扱い方で最も気をつけるべきこと


それは、できる限り真っ直ぐな状態で保存するということ。

水引は、紙をこより状に丸め、糊を引き、塗料で色づけしたり、糸やフィルム等を巻きつけています。諸説あるようですが、その「水糊を引く」という製法から、「水引」という名前がついたと言われています。かつては和紙で紙芯(厚紙紐)を作り、糊づけから染めまでの工程を水引職人が担っていましたが、現在では機械化され、パルプが原料となっています。仕上げの着色塗料や飾り糸、フィルムは数え切れず、手法も様々ですが、どれも繊細で美しい素材ばかりです。

紙芯に糸が巻かれた素材、絹巻水引他

「紙」を芯に使った素材なので、素材の性質は普通の紙とよく似ていて、一度折れると元に戻すことはできないし、一度曲線が付くと、真っ直ぐな状態に戻すことはできません。通常の紙も、一度丸めると平らな状態には戻りませんよね。それと同じです。

そんな素材の性質から、できる限り、折れないように、そして変な曲線の跡が付かないように、真っ直ぐな状態で保存しておく事が望ましいのです。


なぜ水引素材は真っ直ぐでなければならない?


真っ直ぐな状態にしておかなければならない理由は、変な癖や折れ跡が付いた素材では、美しい結びや作品を作る事が出来ないから。素材に一度ついた癖や跡は、完全には元に戻す事が出来ないので、それが、仕上がりの、微妙で繊細な部分に大きく作用してしまい、作品の質低下や見た目の不細工さに繋がってしまうのです。

贈り物に水引を結ぶことの理由の一つに、「未開封であること」を相手に伝える意図があります。上記の通り、一度跡が付くと元の真っ直ぐな状態には戻らない水引。つまり、贈り物に一度結ばれ封された水引は、第三者により結び直すことはできないのです。

そんな水引の持つ本来の意図から見ても、できる限り、真っ直ぐ収納するというのは、実はとても大切な事だったりします。

右→真っ直ぐな状態で保存した水引で結んだ あわじ結び
左→曲線跡が付いた水引で結んだ あわじ結び


私の過去の収納方法と失敗例(初期〜アジャスターケース期)


水引の手持ち数が少なかった頃から、これまで色々な収納方法を試してきました。

最初に試したのは「丸めて収納」。

こんな風に丸めて、B5かA4サイズぐらいのOPPやジップロックに入れていました。しかし前述の通り、この方法では、曲線跡がついてしまうのであまり好ましくない。本数や種類が増えるとともに収拾つかなくなり、変な曲線跡もついてしまい、早々に別の収納方法へ。


次に試したのは、ポスターや設計図等を入れるためのケースを使った「アジャスターケース収納」。

1m弱まで伸びるし、この頃にはワークショップ等の講師業も始めていたので、持ち運びもできるし、「これだ!」と思って購入しました。
自宅で少量を保存するにはとても良いと思うのすが、意外と直径が小さく入れられる本数に限界が、、、。

この頃になると、1色100本単位で購入していたので、100本づつの水引専用の細長い袋に一色づつ入れて保存していました。

ただ、アジャスターケースから何度も出し入れしていると、このせっかくの小袋が傷ついたりくちゃくちゃになったり、破れたり、、、こちらも早々にやめて次の収納方法へ。


私の過去の収納方法と失敗例(立てて収納期〜寝かせて収納期へ)


次に試したのは、自作の「立てて収納ボックス」。

立てるのはあんまり良くないんだろうな、、、と頭では分かりつつ、どんどん増える水引の量と、自宅のスペースとの兼ね合いで、この時はこれしか思いつかず、収納ボックスを自作しました。

5×2列で、10箱

このようなボックスを10個程購入して組み立て、クラフトテープでグルグル巻いて、収納ケースを自作。一箱に1000本〜1200本程入っていた気がします。この方法は、欲しい色がすぐ見つかるし、使いやすく、結構長い間使っていたのですが、この収納方法にも問題が。

立てて収納する際の問題点は、水引の底がグニャっと曲がってしまう事。100本入を買ってすぐなら良いのですが、使用して本数が減ってくると、どんどん底の方がグニャグニャと曲がっていって、終いには埋もれて、「あれ?この色あったはずなのに。。?」と探して探してボックスの中身全部出したら、箱の底にグチャグチャになった状態で出てきたり、、、涙。

先端がクニャッと曲がってしまうと、もう戻らない… 
(これらはまだまだマシな方)

さらに本数が増えていき「グニャっと事件」が増えてくると、この収納方法も潮時。やはり、立てない収納方法を探さなければ。と初心に返り、新たな方法を模索し始めました。



そして次に試したのが、「横に寝かせて収納」。

この頃になると、市販では、使えるものがないので、もう自作するしかない。と基本自作する方向で収納方法を考えていました。「横に寝かせて収納」は、100円均一等にもある板目紙という工作用の分厚いボール紙を切ったり折ったりして、8cm×6cm×95cmのボックスをいくつも作り、ちょうど同じ頃買ったアイアンの収納棚設置しました。

少しずつ理想の形に近づいているものの、なにこの素人が作りました感。
使い勝手はかなり良かったのですが、手づくりなだけあって、見た目が悲しいことに。そして、使っている内に、長辺95cmの中央あたりが緩んでくるのと、8cm×6cmの引き出し手前部分が、何度も引き出している内に破れてきて、、、。やはり100円均一のボール紙で素人の手作りだと、強度が足りず、寿命も短く、痛むたびに作り直すことになってしまいました。


ついに辿り着いた、理想の「水引収納箱」


どれもこれも納得いかず、もう自分で設計して箱屋さんにお願いしてオリジナルで作ろう!と思っていた時に、丁度ご縁ありお声かけいただいたのが、金沢の伝統工芸、「希少伝統工芸加賀水引細工(通称 加賀水引)」の「津田水引折型」さん。創業100年以上の歴史ある水引細工の老舗です。


昨今の水引手芸ブームを背景に、多くお声のあった水引専用の収納箱の企画を進められているとのことで、僭越ながら、ほんの少し、商品開発の一部に関わらせていただくことになりました。

結論から言うと、実用性、デザイン、ともに理想のモノが出来上がり、私も速攻で入れ替え使用させていただいています。


その素晴らしい水引収納箱がこちら。

グレーベージュ3本タイプ、ダークグレー1本タイプ
グレーベージュ3本タイプを6段重ねてみた図
(※メーカー推奨段数については後述)

一つ一つ人の手で作られる、貼り箱の水引収納箱。眺めてるだけで気持ちがいい。重ねた時のピタッと感が美しい。私が実際に使わせて頂いているのは、「3本引き出しタイプ」お色は「グレーベージュ」です。

商品展開は、上の写真にあるように、2色展開で、グレーベージュとダークグレーの2色。引き出しは、「1本タイプ」「2本タイプ」「3本タイプ」の3種類があります。

左から、1本タイプ、2本タイプ、3本タイプ


収納箱の詳細を以下にまとめてみました。


実際に私が使ってみて、感じた事を書いていきます。

  • インテリアに馴染むデザイン性
    何と言っても、まずこの洗練されたデザイン性。現代のミニマルでシンプルなインテリアやトレンドに沿った、2色展開。「グレーベージュ」と「ダークグレー」どちらもとても素敵なニュアンスカラーで、ご自宅のインテリアに合わせて選べます。ちなみに、「グレーベージュ」は、恐縮ながら私から「こんな色はどうでしょう?」とリクエストさせて頂いたカラーでした!
    外側の紙に合わせて内側も白と黒で統一しシンプルさを追求しているのも、さすがです。

  • 表面に貼られた紙は「タント紙」
    以下引用の竹尾見本帖のページにもある通り、本当に沢山あるタントのカラーから厳選した2色、ダークグレーは「S-2」、グレーベージュは「N-4」です。また、表面は、完全なフラットではなく、程よい質感がある、とても魅力的なファインペーパーです。

イタリア語で「たくさん」を意味するtantoからその名をつけられたタントは、豊富なカラー展開で多様なニーズに対応できるファインペーパーとして、1987年に発売されました。
基準となるN列を中心に、発色性の高い蛍光色のI列、にごりがなく透き通った色のC列、濃色を揃えたD列、H列、X列など、トーンごとに幅広い色展開を誇り、さらにさりげない質感を生むエンボス模様が、この多彩な色の魅力を引き立てています。

https://www.takeo.co.jp/finder/main/tant.html


  • 中が良く見え、頑丈な入り口部分の構造
    お写真の通り、入り口の上半分が空いている構造になっているので、中にどの色の水引が入っているか、迷わず一目で分かります。個人的にはこの点はかなり重要でした。また、何度も手をかけて引き出すであろう引き出し手前部分は、特に頑丈に作られていて(私の稚拙な手作り箱のように壊れず破れず !)しっかり長く使えそう。
    中箱は、実は前後ない両開きになっているので、もし引き出し手前部分が痛んでしまっても、引き出しをひっくり返して後側を前に持って来れば、もう一度使えます。

水引を入れるとこんな感じ!
とっても引き出しやすいのです。
  • 重ねられる推奨段数、3本タイプならメーカー推奨は3段
    3本タイプの場合は、4段でも使用感的には問題なく使えるのですが、中央のたわみが少し気になるので、3段が推奨段数。私は、2段重ねて、無印良品のコの字家具を置いて、その上に3段さらに重ねて、重みを分散させて使用しています。スタッキングできるコの字家具ならもっと詰めるかも!
    もしかしたら、2本タイプを横に2つ並べ4列にすると、たわまないと思うので、もう少し積めるかもしれません。それはまた追って検証してみますね。

  • 一箱には2500本以上の水引が入ります。
    私の使用例だと、一箱に、少なくて1000本程、多くて2500本程入れてみました。それだけ入れても、ちゃんとスムーズに引き出せるのがまた素晴らしいところ。メーカーの詳細ページでも、2500本入れた使用例がありましたが、スペース的にはまだまだ余裕がありそうでした。(重ねる段数や本数によって、少し引き出しにくい部分が出てくるかもしれませんが、そんな時は、外箱を少し抑えて引き出してあげるとストレスなくスッと引き出せます。)


私の水引整理収納例


今や数百種類ある水引、それらをどんな風に整理し、使いやすく分かりやすく収納するか、これも悩みました。よく使う色や、普段どんなモノをよく作るかによって、どう仕舞うのが一番効率的なのかは、人それぞれだとは思いますが、一例として、私の整理収納例をご紹介します。(Instagramのストーリーズに掲載したものです。)


こだわりの整理収納アイデア


色別に分けるのか、種類別に分けるのか等、入れ方は個々によりますが、一箱に様々な水引が入ることになると思います。そんな時により分かりやすく、美しく収納するアイデアをいくつかご紹介します。

前述で紹介した、水引専用収納袋を使用した方法。私は色別にこんな風に小袋に分けて、ラベルを貼っています。水引には類似色が本当にたくさんあるので、ラベルには「水引の種類、品番、色名」を書き、追加購入の時に、間違いなく同じ色が購入できるように、工夫しています。分かりやすく、とても管理しやすいです。

例えば、「プラチナ水引 No226 パール」等


もう一つのアイデアは、箱自体のラベリング。
箱の入り口に、お気に入りのラベルやプレートを貼って、必要な情報を書いておけば、さらに分かりやすく、迷いません。そして、何より可愛くておしゃれ。箱だけだとシンプル過ぎるな〜と思う方にも、ワンポイントになりとてもお勧めです。私が使っているのは、真鍮のこちらのプレート。

水引の種類や色別に、「青系」「赤系」「茶系」等書いても◎
味わいあるプレート。「ダークグレー」「グレーベージュ」どちらにも良く合うカラーです。


唯一のデメリット

津田水引さんの水引収納箱、沢山お勧めポイントを書かせていただきましたが、やはりデメリットもないわけではありません。そもそもの素材が紙なので、陽のあたるところに置いていると、経年で、本のように日焼けしてしまいますし、プラスチック等と比較してしまうと、やはり、強度的に少し劣る部分もあります。

でも、私はプラスチックよりも紙が好きだし、機械ではなく人の手が作る貼り箱という点も味わい深く、とても魅力的だと思います。使い込むうちに変わってくる紙の質感も好きだし。そもそも紙素材である水引との相性は抜群。

つまり、私にとっては理想通りで、こんな素敵な水引専用の収納箱が日常的に使えるなら、上記のデメリットなんて全く気にならないという事。

ただ、中には気になる方ももちろんいらっしゃると思うので、とても頑丈には作られているものの、紙であることのデメリットも加味しつつ、ぜひ検討されてくださいね。

津田水引さん、とても丁寧に頑丈に梱包してくださいます!
紙ならでは美しさ。


最後に

どんな収納や片付けも同じなのかな?と思いますが、素材を丁寧に扱って、自分が気に入る、気持ちいいと思える方法で、仕舞ってあげる。たかが片づけかもしれないけど、それだけで気持ちやアイデアがすっきりして、新しい事へ挑める気がします。

水引に至っては、素材を丁寧に扱ってあげる事が、仕上がりの美しさや丁寧さにも繋がります。

皆さんが、ご自身が一番だと思える収納方法を見つけて、豊かな創作活動に活かせますように。
よろしければ、私の失敗例等も参考にしていただきながら、ご自身の活動に最適な方法を見つけてもらえると嬉しいです。



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