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「蒼い神様とピンクの神様」第9話蒼ちゃんがやってきた

大の仲良し神様、蒼ちゃんとピンクちゃん。蒼ちゃんが女の子、ピンクちゃんが男の子です。

ピンクちゃんが最初に、順ちゃんの家にきました。そのちょど7日後に蒼ちゃんがやってきました。

今日は蒼ちゃんがやってきた日の物語です。


ある日のこと。順ちゃんはおともだちのけいちゃんといっしょに、先生のところに、神様人形を見に行きました。

けいちゃんが、順ちゃんの持ってるピンクの神様人形を見て気に入り、けいちゃんもほしくなったので、いっしょに買いに来たのです。

じゅんちゃんは、弟にも人形をかってあげようと思っていました。

神様人形はそのとき7-8体いました。

弟はどれがいいかな?

最初に順ちゃんは蒼い神様が目に入りました。

「なんてきれいな青なの!今までの神様になかった色ね。そして私が大好きなちょっとだけ緑がかっていて、鮮やかな青だわ!」

蒼い神様は、瞳やまつげにクリスタルのビーズがほどこされていました。

頭にもティアラのように、クリスタルビーズがつけてあります。

お腹には曼荼羅のような、とてもきれいで鮮やかな刺繍とアップリケがしてあります。

首にはネックレスかスカーフをまいているかのように、きれいな刺繍がしてあります。

手足がすらりと長く、まるでどこかの星から来たお姫様のようです。

順ちゃんはこの子しか目に入らなくなりました。

「弟には、これにしようかしら。私の好きな色のお人形」

そのとき先生が「順ちゃんの弟にはこれがいいと思うわ」と、オレンジと黄緑の人形を順ちゃんに差し出しました。

順ちゃんはハッとしました。

オレンジの神様はいたずらっ子のようににんまりした笑顔でした。

「私はオレンジちゃん、目に入ってなかったわ。やだ、わたし、弟の買いに来たのに、蒼ちゃんしか目に入ってない(笑)弟には、先生が言うようにオレンジちゃんがぴったりね」。

元気な弟に、順ちゃんはオレンジちゃんを買うことにしました。

どうしよう?!わたし、ピンクちゃん買ったばっかりなのに、蒼ちゃんも欲しいって思ってるわ。蒼ちゃんにもおうちにきてほしい!

今日、お人形2個買えるお金を、なぜか私もってきたわ。

神様人形、人気だし、蒼ちゃんとてもきれいだから、今買わないと次の日はもうないかもしれない・・・。

私やっぱり蒼ちゃんが、どうしてもほしいわ。この色大好きな色だし。これは運命の出会いかもしれない!

えええーい!思い切って買っちゃおう!!

順ちゃんは蒼ちゃんを買うことにしました。

先生は順ちゃんが蒼ちゃんをとても気に入ったのが分かったので、順ちゃんが帰るときまで蒼ちゃんを取っておいてくれました。

「順ちゃん、蒼ちゃんはもう順ちゃんのものだから安心してね!」

「先生、ありがとう!わーい!うれしい!私の大好きな色のお人形さんだわ!早くおうちに連れていきたいわ」

順ちゃんは、オレンジちゃんと青ちゃんをかばんの中に大事にしまいました。

そして、ルンルン気分でおうちに帰りました。

オレンジの神様は、弟に早速わたしました。弟は仮面ライダーやウルトラマン人形しか遊んだことなかったのですが、オレンジちゃんに大喜びでした。

弟は自分の部屋にオレンジちゃんをつれていきました。

オレンジちゃんが来るのが決まっていたかのように、弟の机の上にはオレンジちゃんと同じ色のはさみやペンが散乱していました。

順ちゃんは、蒼ちゃんをかばんから取り出しました。

そして、ピンクちゃんが座っている二人掛けの椅子に蒼ちゃんを座らせてみました。

「あら?ちょうど二人が座るとぴったりだわ」

まるで二人のために用意されたかのような椅子でした。

ふたりを座らせたら、広すぎることも、狭すぎることもなく、ピッタリサイズ。

ふたりはちょっとだけ内側を向いて、寄り添うような形で座っています。

ふたりの背の高さは違うのに、不思議なことに座らせてみたら、目の高さが同じなのです。

お互いの右目と左目が、ひっつきそうです。

そのとき、順ちゃんには話し声が聞こえました。

蒼ちゃん「私、あなたのことを探していたわ。ずっとずっと。待っていてくれたのね」

蒼ちゃんは涙を浮かべていました。その大きな瞳から今にも涙がこぼれそうです。

ピンクちゃん「僕、君が来るのをずっと待っていたよ。君がいなくて、寂しくて泣きたかったけど、僕、泣くのを我慢していたよ」

蒼ちゃん「そうなのね。待っていてくれてありがとう。私は今までほかの人たちと、いっしょにいたわ。みんな、やさしくて、私にとてもよくしてくれたけど、なぜか私はいつもさみしくて。どこかで待ってる人がいる気がして。会いたい誰かが、どこかにいる気がして。あなたのことだったのね」

ピンクちゃん「僕もほかのひとたちといっしょにいたよ。僕もいつも寂しかったよ。みんなといてもどこか寂しくて。誰かを探している気がして。毎日いてもたっても、いられない気持ちだったよ。僕は君のことを探していたんだね。そして、君の来るのをずっと待っていたんだね。僕は、君が必ず来るとわかっていたから、ずっと待っていようと、なんとなく決めていたんだ」

蒼ちゃん「ピンクちゃん、もう、泣いていいのよ。私も泣くわ。我慢は体によくないわ。私たち、今度は悲しみの涙でなく、会えた喜びの涙を一緒に流しましょう」

ピンクちゃんは今までずっと目を見開いていました。まばたきしたら、目にたまっていた涙がこぼれてしまうからです。

ピンクちゃんは、蒼ちゃんと会った時に泣こうと決めていたのです。

見事に出会うことができた蒼ちゃんとピンクちゃんは、お互いの顔をじっとみつめ、手を取り合いました。

「なんてきれいなんだろう!!!」

ふたりはお互いの顔を見て、そう思いました。

ふたりの眼から涙がこぼれ落ちました。悲しみと寂しさの涙ではなく、喜びの涙です。

ふたりは何億光年分も泣いたので、地面に水たまりができました。

その水たまりは水蒸気となって、お空にあがっていきました。

そして水蒸気は雲になり、その雲から雨が降ってきました。

たくさんの雨が降り、二人は傘をさして一緒に入りました。

いっぱいの雨が降りました。

しばらくすると、雨が上がり、お空に虹が見えました。

ふたりの眼にはもう涙はありませんでした。

蒼ちゃんとピンクちゃんは会えた喜びをかみしめていました。

泣き止んだ二人は、お話を始めました。

住んでいた星の名前は?

朝起きて一番最初にすることは?

お弁当にいれてほしいものは?

好きな空の色は何色?

好きなアイスクリームの味は?

などなど。

自分のことを話したり、相手に質問したり。二人の話は途切れることがありませんでした。

話したいことが次々と湧いてきました。

三日三晩話し続けました。

順ちゃんはそんな二人を見て、「よかったね!」と思いました。

「ピンクちゃんは、蒼ちゃんに来てほしかったのね。ピンクちゃんが寂しそうな顔していたのは、そのためだったのね。

蒼ちゃんはここに来ることになっていたのね。

けいちゃんが人形が欲しいといわなかったら、ピンクちゃんは蒼ちゃんとは出会ってなかったわ。

けいちゃんは二人のキューピッドね👼」

順ちゃんは蒼ちゃんとピンクちゃんを眺めていると、楽しくて幸せな気分になりました。

そしていつまでも神様の会話を聴いてました。

神様の会話があまりにおもしろいので、けいちゃんに電話しました。

そしたら、けいちゃんが神様の物語を紙に書いてくれました。

そのお話がとてもおもしろくて、順ちゃんは何度も読みました。

あまりにおもしろかったので、今度は順ちゃんが二人の会話を聞いて、作文にしようと思いました。

こうして「蒼い神様とピンクの神様」の物語が始まったのです。






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