女性二人組の宗教についての会話

公園通りの喫茶店。女性二人組の宗教についての会話。「それを証明するにはさあ、修行しないといけないの?〔…〕そういうことを、さいきんぐるぐるずっと考えてます〔…〕いい意味でも悪い意味でも社会不適合だよね、嫌味じゃなくて、だから面白いんだけど、そういう意味でも、もっと色んな人と話しとけばよかった〔…〕議論したい、散歩しながら議論したい、そういうなんか、お金のかからない遊びをいっぱいしたい、お酒飲むのも楽しいんだけどさあ、さいきんお酒飲むよりもそういうことのほうが楽しいんじゃないかって、一周してるよねうちら、お互いテーマを決めて、本とか読んで準備をして、そのうえで戦いたい、ラップバトルみたいな〔…〕幸せは待てば訪れるみたいなこと書いてあって〔…〕大吉に異常な周年を燃やしてる人がいて〔…〕ゲッターズはよかった?〔…〕うちらの年代は、男の子が厄年だよね? 後厄?〔…〕実体のないものですから、宗教とは〔…〕私はゲッターズ飯田の信者だから〔…〕きょうだからこそ、いい行いをしようっていう、いい方向にはなってる、静かに生きていこうっていう〔…〕堅実な生活したいなあ〔…〕生活水準落としたいなあ、最近すごい思う〔…〕めちゃめちゃ高いわけじゃないんだけど、あげたものを落とすって難しいじゃん〔…〕ひろゆきってめちゃめちゃ低いじゃん、たとえが違うなって自分でもわかるんだけど〔…〕背負わない人生にしたい〔…〕なんか、おすすめのアプリがある〔…〕自分がつかった感情を分析してくれるのね〔…〕これAIがやってるから〔…〕振り返ってみて、この時期こんなこと悩んでたなってわかる〔…〕マインドフルネスアプリめっちゃ好きだからめっちゃ入れてる〔…〕なかなかさあ、自分の考えとかまとめて書く時間ないじゃん〔…〕めっちゃ歯磨きしたい、こういうミルクティーみたいなの飲むとさあ〔…〕くさくない? 自分っていう〔…〕彼氏はいらないけど、ちょうどいい人はいる〔…〕ぜんぜんつきあうとかはまじでないけど、ちょうどいい関係を〔…〕Tinderで出会ったから〔…〕上手に推しを見つけてるよね〔…〕向こうが好きとかになったら、ほんとにだめだってなるけど〔…〕純粋にさあ、下心なく友達になるって難しくない?〔…〕大学の頃はあったじゃん、でもマッチングアプリだと〔…〕年下くんと? ババアすぎて、え2歳しか変わらんやん、ババアすぎて申し訳ない、付き合ってみたらさあキッズかもしれないじゃん〔…〕彼女いるんだろうなあっていうのはうすうす察してる、クリスマスの日に返信が来ないから、いるんだなって察した、へえ気になるね〔…〕後輩でさあめっちゃかわいい男の子いるの、ずっと推しで可愛いっていってて〔…〕めっちゃかわいいね、そう一生幸せでいてほしいわって思う〔…〕そっからさあ盗撮してるのめっちゃ面白いよね、ネトストでてるじゃん」

大きいショッピングバッグを買うために、渋谷の無印へ。1階のレジに並んで「大きいショッピングバッグってここで買えますか?」と聞くと、大きいショッピングバッグは商品を購入した人しか買えない、ただし、「4階の消しゴムが一番安いです」とささやくように教えてもらう。言われたとおりに消しゴムを選ぶわけにもいかず、洗濯できるニットを買う。大きいショッピングバッグは小道具を運ぶのにちょうどいいサイズだった。

朝9時。窓口にあかちゃんを背負った女性。班でいちばん仕事のできる課長代理が通りすぎて、あかちゃんに手を振っていた。

1年前に買ったチプカシが3週間止まったままでいる。買い替えてもいいかもしれないと思う。

英語のフリック入力には一生慣れない。

下北沢駅前の公衆トイレが水浸しだった。

3割引のもつ煮が入ったレジ袋が傾く。

クレーマー対応。少々お待ちくださいといって席を外し、先輩に状況を報告すると「ちょっと声が大きいわ」と怒られる。

帰省中の出来事。某首長の東京出張関連で電話対応に追われる母。妹は資格試験を控えていて帰らないらしく、2019年の夏以来会っていないことになる。県道の凍った舗道をかがんで歩く。コメダ珈琲の前をとおって、2020年の夏はここで県庁の面接対策をしていたなと思い出す。駅のドトールで積ん読本を消化する。MVの編集を終える。帰り道に雪が降る。じゅうぶん濡れたあたりでウェルネスに寄って傘とタオルを買う。リュックのいちばん外側に入れていた文庫本だけが濡れていた。家賃の振り込みが大晦日に間に合わず、けっきょく3日になってしまったがとくにおとがめはなかった。祖父母の家に親戚で集まる。早稲田の所沢キャンパスに通う金髪の従兄弟の「早稲田」なエピソードを母が面白がって聞く。高校時代は不登校だった従姉妹は妹と同じ女子大に通っているらしい。地元の県庁を蹴ったとはいえ、あるていど名前の知れた組織に入ると祖父の説教の順番が回ってくることもなくなってそれはそれで寂しい。昔は癇癪持ちだったという祖父も、誰一人まっとうに育つことのなかった孫達の教育を諦めてしまったようにもみえる。祖父がはまっているというシャンパンを空けながら大人たちの世間話に耳を傾けていると、隣のアパートに〇〇組の人間が住んでおり、顔を合わせれば挨拶する仲だったという。朝7時の飛行機で帰る。父が空港まで送ってくれる。無言の車内。薄暗いの国道沿いの風景を撮影した。


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