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祖母の笑える失敗談

私の祖母が亡くなって約20年経った。
祖母は確か明治43年か44年生まれで、あと少しで大正生まれだったとよく悔しがって話していたのを覚えている。
おそらく、一つでも新しい時代に生まれたかったのだろうね

祖母は人と関わることが好きで、面倒見の良い人だった。
毎朝4時に起きて体操と写経をし、トイレ掃除は毎日欠かさない人だった。
裁縫や手芸も得意で、昔の着物を洋服にアレンジしたり、布でバッグや小物を作って楽しんでいた。
健康にも人一倍気をつけて、料理も塩分は控えめで、どちらかというと精進料理のような食事が多かった。

ここまで書いていると、主婦の鑑みたいな祖母だが、失敗談も数多くあるのだ。


我が家は商売をしていて母もフルで働いていたので、日頃の食事は祖母の役割だった。
ある日のこと、卵の殻をきれいに洗ってすりこぎで一生懸命細かくしている祖母。
「何してるの?」
と問いかけたところ、
「卵の殻を細かくしてお米と一緒に炊くんだよ。」
と祖母は答えた。

まだ小さかった私は、へぇ〜と感心して、何も疑わずその日の夕飯が楽しみでさえあった。

いざ、ご飯が炊けて、卵の殻入りのご飯をお茶碗によそい、
いただきますをして口に入れた瞬間、

ジャリ

それは砂を食べているような食感で、とても食べれたものではなかった

ご飯の神様には申し訳ないけれど、いくら細かくしたところで卵の殻が喉を通ることはなかった

戦争を経験した祖母にしてみれば、お米を捨てることができないと一口二口頑張って食べていたが、かえって身体に悪いんじゃないかと家族みんなで食べるのを止めた。

何かで見聞きしたのか、カルシウムを摂取できると閃いたのか・・・
そのへんは分からないが、卵の殻ご飯は大失敗に終わった。

いつもは何も言わない祖父が祖母に説教をしているのを見て、子供ながらとても不憫に思った。
祖母はただ家族の健康のためにと思って頑張って卵の殻を細かくしたのだから


何十年経っても、卵の殻ご飯の食感は記憶に残っているのだから、それだけ私にも強烈だったということだ

今でも笑い話として思い出すお茶目な祖母の失敗談だ。



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