対比と類比
3.2では大阪大学の問題を使って、換言法でパラグラフを構成する方法について考察しました。今回はパラグラフ構成法として、対比と類比を用いる場合を考えます。
前回の例題A・Bは2題とも対比と類比を使うのですが、ここではBをとりあげます。
例題B
すだれを知らない英語母語話者にわかってもらうには、比較を使うのでした。
すだれと似ていて、英語圏にありそうなものというとブラインド(window blind)です。
では、すだれとブラインドを両者を材質・用途の2点で比較してみます。
類似点と相違点がはっきりしました。
主題部
それでは、まず主題部です。まず outline を書きます。「すだれはブラインドに似ている」と立ち上げます。次に「類似点と相違点について触れるからね」と予告します。
展開部は類比から
次に展開部の叙述に入ります。
まず、どこが似ているかを書きます。類似点のうち日射遮蔽は必須です。
語数を中間で微調整
語数に余裕があれば、通りからの目隠しになることも加えるといいでしょう。
これもまずは outline から。
これだけでは具体性が不足しています。block the street view を肉付けしましょう。
ところで、(3)のあとにいきなり(4)(5)を言うと、いささか唐突に見えます。読者には(4)(5)が日射遮蔽の説明の続きかな‥‥と見えるからです。
もし英語力と語数に余裕があれば、Also, … というような(4)(5)を言うための導入部を置いて、日射遮蔽の話に区切りをつけたいところです。
以下はそれを文にしたものです。
似ていることを言う時は alike, like といった語の他に similar, both, in common などを活用することもできます。
展開部のシメは対比
次に相違点を書きます。取り付け位置と材質が最も目に見える相違点ですので、これを必ず盛りこみます。
まずは予告文を書きます。ここで「今から placement と material のことを言うよ」と伝えます。
予告ができたら、対比説明をします。対比には but, while, on the other hand などを活用します。
まずは placement から。
次に material の説明をしましょう。構造を言う時は A is made up of B を、材質を言う時は A is made of B を用いましょう。
もし語数に余裕があれば、季節の情報を加えるのもいいですね。
これを総合します。福井大学では150語から180語程度を想定した解答欄になっていました。
語数制限上もう少しコンパクトにする必要があれば、相違点を中心に書くことにしてもよいでしょう。設計図がしっかりしていれば分量は自由自在です。
今回のルール
今回、実は脇役のような形で、あちこちで大事な役割を果たしていたのは次のルールです。
今回、随所でこの発想法を使って、文を挟んでいますね。ネタを増やすのではなく、同心円を描くように同じ話題を反復しながら深めていくのが、英語の叙述法の基礎なのだということを肝に銘じてください。