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小学生になる頃のこと。


自由奔放な母と
振り回される両親、つまりわたしの祖父母。

母が身勝手に産んだ小さな女の子は
記憶の中でも 賢い子どもだった。

父親のないシングルマザーなんていう言葉もない頃、
「片親」のわたしは 近所で有名だった。

「可哀想な子」の割に
母は わたしに
「可愛いお洋服」を着せることに喜びを感じ
「父親」から わたしを着飾るための金銭を無心していた。
そのお金で
オーダーのワンピースや
数少ないブランドものの子供服を着せ
目新しいおもちゃを買い与えた。

嘘つきなわたしは
「お母さんに買ってもらったの。」
と、得意げな顔をして見せる。
嬉しくなんかないのに。

わたしを愛してそうしていたんじゃない。
小さくて可愛い女の子に
可愛いお洋服を着せ、
「大切にしてます」アピールだった。

いつも遊んでくれたご近所のみーちゃんは
着せ替え人形のお洋服や
ベッドのお布団もお母さんのお手製。
それがとても羨ましくて
母にねだったことがある。

「みーちゃんと同じのが欲しい」駄々をこねたのは 
母を困らせたかっただけなのだ。

絶対手に入らない
「手作り」の物たち。

諦めるには お友だちが羨むくらいの 「買ってもらった」ドレスや小物だ。

どれも これも
空っぽだった。

大切にしていたのは
自分を装う鎧のような盾のような
それらだった。

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