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骨太方針って何?

今日は勉強になるシリーズをお届けしたいんですが、その一つ、最近ニュースでも少し名前を聞くようになってきました「骨太方針」について解説したいと思います。

骨太方針を説明するということは、実は日本における予算編成プロセス、予算編成過程を説明することになるので、骨太方針を説明しつつ、どうやって日本の巨額の110兆円を超える予算が決まっていくのかというカレンダーを、今日は説明したいと思います。

そもそも骨太方針というのは、これは骨太方針という公式な言葉があるわけではなくて、正式に言うと「経済財政運営と改革の基本方針」というのが正式名称なんですが、年に1回決めます。
骨太って何で骨太かというと、国家の基本となるような政策をここにバーンと書いて、こういう方針で我が内閣・我が政権を運営していくというのが、この骨太方針。
しかもその中でも経済とか財政の運営に関する大きな考え方・方針がこの中に書かれてあるということだったんです。
ただ最初は骨太方針だって言ったんですけど、最近もうやたらめったら細かいこと全部書いてあって、なんか小骨の方針みたいになっているんです。
今回岸田内閣でもこれ出しましたけれども、目玉というよりももう目玉ないんです。
だって岸田内閣も長くやってて、最初新しい資本主義とか所得倍増とか、そういうのが大きな柱かと思ったんですけど、それもないですから。
ないんですよ。

実際はここから始まる1年間の各省の予算要望のウィッシュリスト、アマゾンでいう欲しいものリストみたいな感じなんです。
実はあんまり世の中の人には知られてないんですけども、6月にまとめる骨太方針に入るか入らないか、あるいは入れ込めるか入れ込めないかっていうことで、ここ1ヶ月ぐらい業界団体とかも含めて動きまくってたんです。
各省庁も。
なんでかということを今から説明します。

この骨太方針ではこういう方針でやっていきますみたいなことが書かれてあるんですが、この中に入ったものの中から来年度の予算編成の項目が決まっていくということなんです。
逆に言うともうここに入っていなければ、その後いくら頑張っても基本的には年末の予算、つまり来年度予算案には入らないっていうことなんです。
だから言葉悪く言うと、これから始まる予算分取り合戦の第一ラウンドのペーパーなんです。

これがまず決まりますと、スケジュールでいくと来月7月は概算要求基準というのを財務省が示します。
これは閣議業界で概算要求基準って何かというと、これぐらいの予算が欲しいねという要求を各省庁、経済産業省・農水省・外務省とかいろいろ役所ありますけども、そこが欲しい予算を取りまとめて財務省に対して「来年度予算これくらい欲しいんです」という要求をするんですけども、ただ無限に要求させたらキリがないので、例えばこういう経費は2023年に比べてプラス5%以内ですよとか、むしろマイナス何パーセント以内ですよとか、要求してもいいんだけどこういうルールに守って要求してという要求の基準、これを示すのが来月です。
概算要求基準決めると同じ頃に2023年の税収の確定値とか、あるいは経済成長来年どうなるんだという財政の中長期算というのは同じ頃に出て、それに基づいて概算要求基準を決めるということです。

この基準を決めたら基準に従って「よーいどん」で各省庁は8月末を締め切りに財務省に対して「じゃあ来年度予算に向けてはどういう予算要求しようかな」ということを要求予算を積み上げていくわけです。
その積み上げる時の一つのベースになるのがこの骨太方針にかかわれている政策集です。
「じゃあここに書いてあるやつは入れ込んでいこう」とか、そういうことで各省の予算要求の内容を決めて、8月31日の締め切りまでに財務省に出すんです。

ここでまず各省庁が「来年度予算こういうの欲しいです」っていうことを基準満たしながら多めに出すわけです。
それを受けた財務省は9月から年末にかけて予算編成過程ということで査定作業に入っていくわけです。

ですから分かるように、財務省は9月の概算要求が出るまでは暇なんです。
こういうのが欲しいって出てきてから「これは要求しすぎだろ」で削るとか、そういうことで査定が始まるので財務省の主計局がここから忙しくなるんです。

ただこの概算要求基準を決めるのは主計局の中の総務課の企画係とか決めるので、一部の主計局はこの時忙しいんですけど、基本的にはここまで暇で9月以降だんだん忙しくなって日が短くなってくるにつれて働く時間が長くなって12月の予算編成の直前で皆深夜帰れなくなるとかそういう感じです。
あと各省財務省を査定しますけど、よく分からないんで農水省来てくんないとか、外務省来てくんないって言って呼び出されたりして「いやここはこうですよ」と説明しなきゃいけないんで各省も待機がかかったりして忙しいです。
ちょうど秋の頃は臨時国会も大体開かれることが多いので、国会対応しながら財務省の要求にも応えていかなきゃいけないと。
この辺から各省としてもだんだんだん忙しくなってくる、こういう編成です。
そして12月のクリスマスの頃に政府の予算案が決定されて、その前には税制についてどうするか税制改正大綱とかそういうのも決まって来年度の予算が決まると。
決まったらそれに基づいて予算を作って予算書という分厚い枕みたいな未だに紙でやってるんですけど、それを国会に提出して、提出が1月になりますから、そこから1月から通常国会を開いて1月2月3月衆議院をまずやって、参議院やって国会審議・予算委員会やって3月年度内に成立したら、4月から次の予算が執行されていく、こういうスケジュールなんです。

ただ予算のさっき言ったように、ずっと逆算今度してみてみると、その元になってるのは骨太方針なんです。
ここに書いてる以上のことは来年実現しないんです。
若干批判的に言いましたけど、ビジネスやられてる方とか、あとはどういう補助金とかあるいは融資が受けられるとかそういうのを考えてる人は、1回骨太方針は読んどいたほうがいいです。
そうするとだいたいここに書いてる方針で国の方針はいきますから、それに反することよりもむしろ反ってやったほうが、国はこういうふうに向いてるんだなっていうのはある程度知っておいたほうがいいと思います。

こういう一連の流れになっているということは頭に置いていただければ、政治のニュース経済のニュースを見るのには役立つと思いますので、お役立ていただければと思います。
今日は骨太方針について皆様にご説明させていただきました。

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