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景気後退がわかるサーム・ルールとは?

最近、為替や株が大変動していますけれども、日本の経済どうなるんだ、同時にアメリカ経済どうなるんだと関心が非常に高まってますので、今日はアメリカの景気はこれから後退していくのかどうか、それを図る一つの指標であるサーム・ルールについて説明したいと思います。

サーム・ルールなんですけれども、何でサームかというと、FRBのエコノミストであるクラウディア・サームさんが考案した指標だということで、当たる指標の一つというふうに言われています。
どういうことかというと、直近3ヶ月の失業率に注目して、要は簡単に言うと失業率が悪化すると景気悪くなるということなんです。
失業率も変動しますので悪化の度合い、あるいはその変化を一つ表した指標だというふうに考えてください。

まず直近の失業率の移動平均と「過去の1年間の3ヶ月平均の値の最も低い失業率」
難しく書いてますけども、要は過去1年間の一番低かった失業率と最近3ヶ月の平均が、最近の3ヶ月平均が一番低かった時に比べて上がっていて、その上がりポイントが0.50以上上がると急に悪くなっているので、これが5.0を超えた時には必ずアメリカの経済は景気後退に入ると。

先般8月2日にアメリカの雇用統計が発表されまして、それが失業率4.3というふうに出たんですけれども、セントルイス連銀のホームページに最新の値が常に出してあるんです。

8月2日の雇用統計の前は確か0.47とか0.48で、0.5に足りないぐらいで、まだリセッション入りではないというような数字のレベルだったんですが、8月2日の雇用統計が発表して、それを入れ込んだところ、セントルイス連銀のホームページの値は0.53ということで、まさにサーム・ルールの0.50を満たす、つまりこのルールから言うと景気後退入りの条件を満たしたということになったわけです。
今まではアメリカは景気が過熱してたので、金利を上げてそれを冷やすということでやってきたんですが、なかなか冷えなくて、これまで引っ張ってきて、本当だったら利下げを高い金利を景気が悪くなったら下げて調整するんですけど、6月には利下げしすると言ったのが、もうあまりにもインフレが収まらないので、賃金の上昇も続くので高い金利を続けていたんですけど、いよいよリセッション、つまり景気後退が始まるということになれば金利を下げる局面に入ってくる。

実際、FRBのパウエル議長は今回のFOMCというアメリカの金融政策を決める会合においては、金利は下げずに置いたんですけれども、9月には「政策金利の引き下げが選択肢となり得る」ということを会見で発表したので、日米の金利も縮まっていくということで円高に振れるということになりました。

これに合わせて日銀の植田総裁が「金利は上げ続ける」というようなメッセージを、もちろん条件がついてますが言ったことによって、アメリカが落ちてくるに合わせて日本も上がってくるということでさらに縮まるということで、アメリカの景気後退に伴う金利の引き下げに伴う円高と、そして株価の下落というのを日本の金融当局の発言によって増幅した形になったと。

ただサーム・ルールに関しては、計算を少数点までで四捨五入するのか、少数点2~3までちゃんと出してやるのかによって、今回も0.5を満たしてないんじゃないかという、そういう計算とか説もあって、まだギリギリの微妙なところにあるということです。
果たしてアメリカの経済が景気後退にこれから入っていくのかどうか、それに伴って利下げを、例えば9月にするとしても利下げ幅が大きいのか、0.25なのか、0.5を下げるのか、それも変わってくるので、引き続きこのアメリカの経済状況については皆さんも注目いただきたい。

特にサーム・ルールはこのセントルイス連銀のホームページにありますので、雇用統計が発表されるたびに、それが0.50を超えるのか超えないのかというのは是非注目をいただきたいと思います。

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