【安住の日々】岡本昌也|5月4日(月)
顔が立方体の橋本環奈。
ぼくはそのキューブ状の環奈をとてもかわいいとおもった。彼女はたぶん、空を飛んでいたと思う。
そういう悪夢で目が覚める。
起きてから、Photoshopで夢の風景を再現しようか迷ったけど、技術的な面とか、本人がどう思うかとかを考慮してやめておいた。
生活は変化。
となりの部屋に人が越してきたらしい。
彼のことを仮に、「カサナリ君」と呼ぶことにする。
はじめてきょう、彼の存在を意識した。
「♪たまに重なり~↘︎(ハモるためにオリジナルの下のパートを歌っている)」
歌が、壁を通過した。それで、彼のことを知った。
「ああ、壁を一枚隔てたところにだれか住んでいるんだ。」と思った。
カサナリ君の生活音。歌もそうだし、扉をあけたり水を流したり、そういうのもぜんぶ、まるでぼくの部屋で起こってるみたいだった。
すこし緊張した。
「カシュっ」っていうのも聞かれていたかな。──ぼくはここ最近、お昼にビールを飲むから、缶の「カシュっ」が聞かれていないか心配していた──
カサナリ君の音を聴くとき、カサナリ君もまたこちらをアレしているのだ。
「♪うちで踊ろう↘︎生きてまた会おう↘︎(ハモるためにオリジナルの下のパートを歌っている)」
大丈夫ぽかた。
カサナリ君は重なるのに夢中だし、ぼくはぼくでカネコアヤノの「光の方へ」を部屋いっぱいにかけていたから。
カサナリ君はずっと家にいる。ぼくもずっと家にいる。ビールを飲んでいるし、ふたりとも音楽を聴いている。
カサナリ君の重なりと「光の方へ」を全身で聴きながら踊った。壁をはさんで重なった。
風は暖かくて窓は光っていて、退屈で、カサナリ君も、カネコアヤノも高音が辛そうで、ぬるくて妙にここちよかった。これからぼくと壁とカサナリ君の共同生活が始まるんだと思うと、けっこー感動した。
14時から、リモートで重要な会議があった。
この状況で、なにか作ろうとしている人たちがいて、それについての会議だった。ぼくもそのひとりとして参加している。
いまぼくは「この状況で、なにか作ろうとしている人たち」のコミュニティにすくなくとも3つは所属していて、どれもこれもしびれる。そして、のきなみ不要不急だった。
思えば、不要不急の営みにすべてをかけてきた人生だし、ぼくはそれを誇りに思う。ZOOMにログインした。
会議中、カサナリ君の重なりが熱を帯びてきたので「うるさいな」と思い、「壁ドン」させていただいた。
みんな矛盾している。
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