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犬のデンタルケアの手順まとめ【目指せ!獣医さんに褒められる歯へ】

あなたの愛犬の歯は、キレイですか?
嫌な口臭がしたり、歯石がゴビゴビにこびりついたりしていませんか?

実は犬のデンタルケアはみなさんが思っているよりもはるかに重要です。

この記事では、初めて犬を飼う方から、もうすでに犬を飼っている方まで、すべての飼い主さんに愛犬のデンタルケアを正しく楽しく継続してもらうためのまとめ記事です。

  • 歯磨きのしかた

  • 歯磨きに関するよくある疑問

  • おすすめのデンタル製品

など、お口のケアの仕方が一通り分かる記事になっています。

犬は歯周病がとにかく多い!

お口のケアというと、「虫歯や歯周病の予防のため」と予想される方が多いでしょう。

実は、犬には虫歯がほとんどなく、その代わり歯周病になる犬がかなり多いです。

これにはお口の中の酸性度が関係しています。犬のお口の中は人よりもアルカリ性が強く、虫歯菌が繁殖しにくい環境だと考えられています。

逆に、歯周病の罹患率はかなり高く、日本で飼育頭数が多い小型犬の多くは歯周病が起こりやすい犬種です。

デンタルケアは最強の予防医療

私のnoteのコンセプトは、「日本の犬猫の健康寿命を延ばすこと」です。
そのために一番重視しているのが、お口の健康維持

どうしてかというと、お口の健康を保つことが、どうやら寿命延長に貢献しそうなのです。

最新の研究によると、年に1度超音波スケーリング処置(麻酔下での歯科処置)を実施した犬では、そうでない犬と比べて死亡率が18%も低下しました。

これはまさに、お口のケアが寿命に直結しているという証拠です。

さすがに毎年麻酔をかけて歯科処置をするのはハードルが高すぎると思いますが、お家でのデンタルケアなら誰でも取り組めますよね?

適切なデンタルケアにより、愛犬と過ごせる期間が少しでも伸ばせるのであれば、取り組む価値があると思いませんか?

デンタルケアの流れ

犬のデンタルケアの基本は歯磨きです。

子犬のうちから歯磨きに慣れさせ、毎日歯磨きを行い、それでも歯石が溜まってきたら麻酔をかけて超音波スケーリング処置(超音波歯石除去術)を実施します。

歯磨きに関するQ&A

よくある歯磨きに関する質問に答えていきます。

歯磨きはいつから練習すべき?

歯磨きは子犬のうちから、おすわりを教えるのと同じタイミングで練習してください。

成犬になってから練習するのと、子犬のうちから慣れさせるのでは、圧倒的に後者のほうが楽です。

「全然歯の表面真っ白だし、なんならまだ乳歯ですが?」
と思われるかもしれませんが、歯磨きの訓練という意味では乳歯のうちからやるべきです。

しっかり磨こうとしなくていいので、始めのうちは口周り、歯の表面に一瞬触れただけでご褒美をあげましょう。

犬が嫌がったら1STEP前の段階に戻ります。

ゆっくりゆっくり、犬が抵抗しないテンポで進めていきましょう。

成犬になった頃には、ガーゼや歯ブラシを使った歯磨きができるようになるはずです。

全犬種やらなきゃダメ?

できるだけ全犬種やったほうがいいですが、中にはまったく磨かなくても歯周病にならない犬もいます。

小型犬は全頭必須と思ってよいでしょう。

中・大型犬も、ガーゼで歯の表面を拭き取るくらいのことはしてあげてほしいですが、小型犬に比べると歯周病罹患率が低いため、小型犬ほど必要性は高くありません。

ただし、歯磨きの習慣があったことで、お口の中の異常にすぐ気付けるというメリットもあります。

特にレトリバー系の犬種はガンが多いですから、できるだけ口の中まで触る習慣をつけておくことをおすすめします。(口の中にできるガンは悪性腫瘍が多いです。)

歯磨きはどのくらいの頻度でやるもの?

毎日行います。

犬のお口のなかの環境は歯石が形成されやすい環境と言われており、歯垢(歯のヌメリ)だったものが3日で歯石となります。

少なくとも2日に1回、できれば毎日歯磨きをするようにしてください。

歯石取りはいつやるべき?

麻酔をかけて歯石除去をするタイミングは、歯や歯周組織の状態を見ないと判断が難しいですが、できるだけ重症化する前に歯石取りを行うのが望ましいです。

歯周病の重症度は、歯科レントゲンを撮影し、歯の根元の評価をしないと本当は分かりません。

歯周病の最前線は歯と歯周組織の境目、つまり目に見えない歯の根っこの部分だからです。

ただし、「歯石のつき具合」と、「歯周病の進行度」は、ある程度比例すると言われていますので、歯石の付き具合をみて判断することが多いです。

歯石が歯の表面の50%以上を占めていたら、歯科処置をしていいタイミングと考えています。

ぐらつく歯があるのなら、それはもうやるべきタイミングをとっくに過ぎていますから、すぐに実施していいでしょう。(もちろん麻酔前検査を行って、麻酔リスクを評価した上で。)

歯周病が進行すると、膿を出すために唇の皮膚に穴が開いたり、鼻と口の空間が繋がって慢性鼻炎を起こしたり、顎の骨が溶けて骨折したり。
場合によってはお口の歯周病菌が全身の臓器に飛んで悪さしたりします。
特に心臓の弁に飛んだ場合は予後が悪く、長く生きられないことが多いです。

そうなる前に歯石取りを含めた歯科処置を行うべきです。

また、歯科処置自体の安全性のためにも、「抜歯しなければいけないほど重症の歯周病になる前に、歯科処置をしてほしいな」というのが獣医師の本音です。

なぜなら本当に重症の歯周病の子は、悪くなった歯が顎の骨をつなぎとめていることがあるからです。

つまり、悪い歯を抜きたいけど、抜くと顎の骨が折れるリスクがあるということ。

非常に繊細に処置を行わなければいけないということ。

歯科処置後に顎の骨が折れるリスクは避けたいものです。

「顎の骨がとける前に歯石取りしてくれていたらな・・・」
と思うことは多々あります。

人も定期的に歯医者さんにいって歯石取りをしてもらいますね?
それと同じで、犬も本当は定期的に歯石取りを行うべきなのです。

「症状が出たから歯科処置」「食べられなくなってから歯科処置」ではなく、「5歳と10歳と15歳で定期的に予防的に歯科処置」くらいのイメージを持っておいていただくといいのではないでしょうか。

人間用の歯磨き粉は使ってもいい?

人間用歯磨き粉はNGです。

人間用の歯磨き粉は、歯磨きが終了したあとにうがいで洗い流す前提で作られています。

犬ではキシリトール中毒が起こることが知られており、キシリトールが含まれた歯磨き粉を誤植して体調を崩して来院する例も珍しくありません。

また、フッ素が含まれた歯磨き粉もよく見かけますね。
フッ素が含まれているのは、主に虫歯菌対策。
犬には虫歯がほとんどないことを考えると、フッ素は不要な成分です。
しかも、犬の場合うがいをしませんから、フッ素を大量に飲み込むと体に悪影響を及ぼすリスクもあります。

「できるだけ」ではなく、「必ず」犬用の歯磨きジェルを使うようにしてください。

段階別デンタルケア

ここからは、歯周病のレベル別デンタルケアの仕方を解説していきます。

真っ白な歯を維持する方法

まだ年齢が若く、歯石がほとんど付いていないような、きれいな歯の持ち主さんには、歯磨きジェルとガーゼでの歯磨きをおすすめします。

歯磨きジェルは薬局やスーパーに売っているLIONデンタルジェルがお値打ちでおすすめです。

これをガーゼに乗せて歯の表面を拭いていきます。

我が家ではガーゼを超ケチケチ使っています。
まず、Amazonでガーゼを安く購入します。

そして、このサイズだとやや大きいので、ハサミで半分に切ります。

これを指に巻きまして、、、

この上に歯磨きジェルを載せて歯磨きしていきます。

軽度の歯石沈着がある場合

下の写真のように、少し歯の表面が黄ばんできた子には、有効成分が多めに入ったデンタルケア製品をおすすめします。

おすすめのデンタルケア製品をまとめた記事があるので、こちらをご参照ください。

重度の歯石沈着がある場合

動物病院で歯科処置をしてもらいましょう。

重度に沈着した歯石は、歯周病菌の塊。これを放置しておくと、口から膿のようなよだれが出てきて食欲が落ちたり、唇に穴が開いて膿が出てきたり、顎の骨が溶けて骨折したり、血流にのって歯周病菌が様々な臓器へと波及していくことすらあります。

そして、残念ながら、ゴビゴビに付いてしまった歯石は、歯磨きでは到底落とせません。

全身麻酔をかけて、超音波の機械を使って歯石をきれいに落とす必要があります。また、この方法であれば、歯周ポケットの中もお掃除することができます。

全身麻酔が必要であるため、事前に麻酔リスクを把握するための術前検査などが必要です。

いくら麻酔が怖いからと言って、無麻酔歯石除去は絶対にやらないでください。「危険」かつ「意味がない」です。
話を聞いただけで「あ、危ないやつだ。」と感じて避けてもらえばいいのですが、詳しく知りたい人は以下の記事をご参照ください。

どうしても歯磨きができない場合

どうしても歯磨きが困難な場合は、以下の記事で紹介したデンタルケアを試してみてください。

ふりかけタイプや歯磨きガムなど、できる限り効果がありそうなものをチョイスしました。

もちろん、歯磨きに勝るデンタルケアは存在しないのですが、歯磨きができないからといって放置するよりは、できる対策を講じるべきです。

まとめ

1日1分の歯磨きタイムが愛犬の寿命を1年2年と伸ばす可能性があると思ったら、歯磨きのモチベーションも上がりませんか?

何より、全身麻酔下歯科処置(特に抜歯)の頻度を減らせるだけでも、やる価値はあるはず。

口腔内環境がきれいな子は、老犬になってからの食欲も安定しています。

メリットしかありませんから、できることからデンタルケアに取り組んでみてください。

以上参考になれば幸いです。

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