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「授乳」村田沙耶香

表題作の他に、「御伽の部屋」に魅了されました、、、

大学生の「あたし」と同じく大学生の「要二」との間で繰り広げられる奇妙な「おままごと」

「要二」に与えられそれを受容するだけのその空間こそが「あたし」にとって唯一息ができる場所だった。その与え、与えられの関係は馬鹿げているようでとても甘美的に感じられた。

次第に「あたし」はおままごとでの「要二」の立ち回りに満足できなくなり、最後には自分の中に私の要求を全て満たしてくれる「僕」をつくりだす。

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結末はなかなか衝撃でしたが、途中までの「要二」と「あたし」の完璧なおままごとにはゾクゾクするほど魅了されました、、、

要二の前でだけ何もできない、他者からの行為を受容するしかない赤ん坊のように振る舞う主人公とそれに完璧に沿う要二とのかけあいに陶酔しました、、、たまらん。

でも結局、「私の理想の要二」ということで本当の要二との違いが徐々に見えてくることで、最後には自分の中にあたしの要求を全て満たす「僕」を作ってしまうんですね、、、でもわからないけど、これってよくあることなんじゃないかと思いました。

家族でも恋人同士でも、おままごとのようにその役回りを完璧にこなしながら幸せなひとときを過ごしているように思える時がある。でも次第に理想から離れていくと、その関係に亀裂が生まれる。

完璧な理想郷なんて、他人を巻き込んでも創れない。結局自分の中に創るしかないんだ。

強くそう思わされた作品でした。

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