就活で有利になりたいなら大学での研究はほどほどに(文系)
就活を終え、感じたことをメモします。
まず感じたことは、教育で求められていることと全く違うということです。
それは、日本社会の教育制度が労働市場とリンクしていないということも意味しています。つまり、どれだけ勉強を頑張ったか、とか、どれだけ熱意をもって研究をしてきたか、などということが、就活においてそこまで必要とされていなかったのです。
僕は大学へは勉強がしたくて入りました。高校生なりに自分の興味のある分野を探し、現在の学部専攻に受かり、受かったからには精一杯の勉強をしようと努力してきました。しかし、就活において「学生時代に頑張ったこと」を尋ねられそれを答えたとき、必ず言われるのが、「じゃあ大学院は考えなかったのか」です。僕自身は勉強をすることは、自分自身の興味関心、視野を広げるという意味をもっていたので、将来の職業につなげていたわけではありません。そこで僕に求められたのは、「その会社へ入るまっとうな動機」「頑張ってきたことを、会社でどう生かせるかの説明」です。僕の場合、「ジェンダーに関心があった=ライフスタイル、ライフコースに興味がある=個人のライフプランに寄り添った融資ができる」といった動機や、「知らない分野にも、必要であれば努力をし続けることができるため、御社でもetc...」という説明をする必要があったのです。
これを行うために必要とさんざん言われたのが、自己分析とやらでした。
自己分析は、自分が今まで何に興味を持ってきたのか、何をやってきたのか、それはなぜか、ということを振り返る中で、将来こうしたい、こうあるべき、こういうことなら自分に向いてる、と言ったことを考えることです。自分を分析するということですね。
でも、僕は正直思いました。自己分析は、自分を分析しているわけではなくて、就職活動でしゃべる内容を紙の上で頑張って書き起こしているだけだと。だって自分が将来やりたいことを考えるうえで、小学校、中学校、高校とかいう欄のある自己分析シートなるもの渡されて、どんなクラブに入っていたとか、部活はどうだったとか、好きな教科どうだったとか、そんなことばかり書き起こす必要ないでしょう。今の自分がやりたいこととどう結びつくんですか。ていうか、就職してやりたい活動なんて、就職経験も職業教育もされていない日本の大学生が紙の上で見つけられるわけないですし。「いやいや、分からないなりに自分でやりたいことを見つけようとする姿勢が大事だ」とか言ってくるキャリアセンターのキャリア脳爆発職員や、人事制度にどれくらい詳しいのか不明の、自社の採用活動という特大イベント参加メンバー一員として笑顔で接する若手企業採用担当者の方々は言ってきます。自分が将来どうしていきたいかを考えるのは分からないなりに努力をする必要がある、ということには僕は同意します。しかし、言いたいのは、自己分析はそういう側面が薄いということなのです。結局僕が自己分析していて得たものなんて、面接のときに機械的にされる質問に、ペラペラと無自覚に言葉が出てくる、それくらいのものでした。自分がどう生きていきたいか、どういう仕事で何を学びたいかなんて、自己分析以外のところで模索していましたし、自分なりの方針を得ました。自己分析という言葉には、自己目的化された就活市場を痛感しました。話を戻します。
面接で聞かれるのは、先ほど言った「ジェンダーに関心があった=ライフスタイル、ライフコースに興味がある=個人のライフプランに寄り添った融資ができる」といった動機や、「知らない分野にも、必要であれば努力をし続けることができるため、御社でもetc...」という説明です。こんなものう〇ちです。これで通った面接ありますし、内定も決まりましが、どうかしてると思います。なんですかこの、なんにでも結び付けられるこじつけの文章は。そもそも、この二つって、サークル(部活)やバイトといった経験を深くした人のほうが話しやすいですし。「バイトで実際に働いていた経験→働くうえで~~に興味」「サークル(部活)で大人数での活動をしていた経験→働くうえで、集団活動のうえでの~~に生かせる」。大卒として採用され、高卒より高い給与が約束されているのに、高校生活でも経験できるような経験にのめりこんでいた人たちのほうが、面接で喋れるこじつけ話を作りやすいのです。大学でやってきた研究にどう向き合っていたかを真摯に説明しても、「いや、大学院行けばええやんww」「で、仕事にはどう結びつくの?なんでこの仕事なの?お勉強と違うんだけども」という態度が返ってきて、勉強していた価値は就活では低いように感じました。そのくせに、上記のようなこじつけ文章を言ったとたん、なぜか納得したような面持ちで、面接を通過させてくれるのです。しかし、最後のほうは学生時代最も努力してきた勉強の話より、わずかなバイト経験の比重を高くした方が反応が良いことに気づき、そこから一気にうまくいきました。勉強の話は否定まではされないものの、サークル、バイトの話をする人のほうが採られてしまう。そんな現実を感じましたね。
新卒一括採用、メンバーシップ制度。日本の雇用制度は、企業が「若い」というポテンシャルをもって採用をし、就職してから職業で価値を埋める人材に育成し、1メンバーとして企業内で死んでいく。こういった側面があります。しかし、就活においては大きな矛盾を感じます。ポテンシャル採用と歌いながら、会社の興味の有無、経験と職業選択のつながりに徹底的に言及してくるのです。ですから、「就活で有利になるための一定の行動様式」が存在し、ポテンシャル採用で、就活で有利になるための行動を行った人が勝ちます。そして、その行動様式に、「学校での勉強に興味をもって取り組んだ」は含まれていないのです。(ゼミでメンバーをまとめたとかは含まれます)
ということで、大学では知識をつけたいし研究をしたいんだ!という人は、大学院に行きましょう。もし大学での勉強に興味がありながら就職したい人がいたら、教えます。就活では勉強よりサークル、バイト、企業研究です。なので勉強より、サークル、バイト、企業研究に時間を割きましょう。企業研究っつっても組織図も何も提示されないじゃないか、何をやってるかどうかも説明会だけじゃわからない!どこの部署で何をやっているか詳しく載せてないよ!と思った人、働いてる人に聞きましょう。OBがいなければ会社まで行きましょう。受かるためにやりましょう。就活市場で「努力」とみなされるのはそれらのことです。一人興味のある研究に打ち込んだとしても、そこまで関係のない会社の採用においては、サークル、バイトをやってた人が採られます。どうしても勉強もしたいし、うわべだけじゃなくてしっかりとした企業研究をする時間も欲しいという人は、休学等利用して長期インターンに行きましょう。ただ、「21歳のほうが若いから。」という理由でとられなくても文句を言わないでください。新卒採用を重視する企業は、新卒がほしいのです。それは、企業で育てたい若い人です。育てたいと思われる、若い人でなければなりません。なので、働くことをじっくり考える時間はありません。大学での研究はどんなに興味があってもほどほどに。日本の就活における大学教育の価値なんてそんなものなのです。でも学歴は価値があるんで、高校までは教師に言われた通り文部科学省の文章を徹底して暗記し、大学行ったらできる幅広い研究はセーブしてくださいね。価値ないんで。
実際、日本の大学は卒業するのが容易なシステムにできています。僕のようにクソ真面目に良い卒論を書こうと思うのは損です。話を聞くと、先行研究を引用し、自分の文章でまとめただけの20,000字で「卒業できる」と合格印を押された知り合いがいますし。それが日本の大学教育なのです。就活市場が大学に教育を求めていないのだから当然です。日本の就活生に必要なのは学歴でこそあれ、教養ではないのです。
日本だいすき!
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