ランニングが科学すぎる

「ランニングする前に読む本」という本を先日読んだ。
この本がバチくそに面白くて、「今はスポーツがここまで科学でハックされとんの?!」と衝撃を受けたので、シェアしたい。


体のエネルギーが生成される原理

ランニング、特に長距離において、走るエネルギーがどのように生成、消費されているか知っているだろうか?

主なエネルギー源とされているものは、糖と脂肪である。
糖は分解され、ピルビン酸を生成する。生成されたピルビン酸はミトコンドリアで酸化し、炭酸ガスと水が生成される。この過程で、エネルギーは生成される。
一方で、脂肪は分解され脂肪酸になる。脂肪酸もミトコンドリアで酸化する過程で、エネルギーを生成する。
これが、主なエネルギーの生成である。
重要なのは、これは酸素によって酸化される反応であるということ。

(実際のエネルギーは、アデノシン三リン酸(ATP: Adenosine tri-phosphate)がアデノシンにリン酸(ADP: Adenosine diphosphate)になるときにhエネルギーを生成する。体内に存在するATPは100g程度で、これだけでは、エネルギーを賄えない。
そこで、クレアチンリン酸(CP: creatine phosphate)が活躍する。クレアチンとリン酸に分解する過程で、ADP→ATPに再結合させる。しかし、CPもせいぜい200g程度。
で、このCPにエネルギーを供給するのが、ミトコンドリアで生成されるエネルギーである。)

一方で、酸素の供給が間に合わないと気はどうなるのか?
酸素の供給が間に合わないと、糖の分解によって生成されたピルビン酸は酸化できずに、Hが2つくっついて、乳酸になる。
ピルビン酸が乳酸になる過程で、少量のアデノシン三リン酸(ATP)が生成され、ランニングのエネルギーを供給している。

問題なのが、この乳酸。
Hが2つ付いて、筋肉が酸性よりになる。過剰にこの反応が起こると、近く神経を介して、反射的に交感神経を刺激し、アドレナリン、ノルアドレナリンを分泌。結果、心臓の鼓動を早くし、息が荒くなり、動悸がして呼吸が荒くなる。

つまり、乳酸が過剰に体内に生成されることによって、ランニング中にきついという現象が生まれる。だから、いかにランニング中に乳酸を生成させないかがキーポイントとなってくる。

先ほども述べたように、乳酸はミトコンドリアが酸素不足となることで、ピルビン酸が、炭酸ガスと水に分解されずに、乳酸となることが原因であった。
つまり、酸素不足にならないように、酸素供給能力の向上もしくは、酸素の消費自体を抑えることが解決法となる。

ランニングとウォーキング

ランニングとウォーキングの違いは何か。
主な違いはなんといってもスピードである。
では、なぜ、ある一定の速度を超えたあたりから人は走るようになるのか?
それは、運動エネルギーの生成の違いである。
ウォーキングをするときは、重心が上下し、位置エネルギーを運動エネルギーに変換することで、前への推進力へとしている。
一方で、ランニングは、重心の変化が少ない。地面との反発をもとに、前前へと進んでいる。

横軸にスピード[min/km]、縦軸に運動量をとったグラフを書いてみる。
すると、ウォーキングは、速度の上昇に伴い指数関数的に運動量が増える。
一方で、ランニングはほぼ一定で、そこまで大きな運動エネルギーはない。
なので、速度が低い時は、ウォーキングがの運動量が小さいが、早くなると、ランニングの方が、小さくなる。このウォーキング>ランニングに代わるのが、6-7min/kmあたりである。
多くの人は、このあたりから、自然と走り始めるのだが、これは、至極あたりまのことなのである。

練習方法

重要になってくるのは、ニコニコペースで走ること。
このニコニコペーストは、乳酸が発生しないぎりぎりのペースのことである。
目安としては、138-年齢/2[ppm]
私の場合は、24歳なので、138-24/2 = 126[ppm]でランニングが基準となる。
これでも全然楽という人は、148-年齢/2[ppm]で計算するとよいらしい。
(実際に走ってみると、もっと高い気がする。自分の場合はちょうどいいと思うペースで測ると143ppmぐらいだった。)

ニコニコペースで走ることは、先ほどの運動量の変化が少ないことも相まって、非常に合理的である。
そして、ミトコンドリアの酸素を取り込む機能とランニングの腰回りの筋肉が鍛えられるので、このニコニコペースでランニングを続けるだけで、2時間半切りも夢ではない。

フルマラソンに向けた食事

フルマラソンで重要なのが、いかに脂肪酸の酸化によるエネルギーを生成できるかである。
理由としては、糖に比べて脂肪の方が、体に多く蓄えることができるエネルギーだからである。

なので、普段の食事では積極的にタンパク質を摂取し、炭水化物は控える。
これにより、ランニング時の脂肪酸からのエネルギー生成回路が強化される。

フルマラソン三日前になると、炭水化物を多めに摂取する。理由としては、長距離のマラソンでは、脂肪だけでは足りず、糖も分解する必要があるからだ。糖は、脳のエネルギー源としても使用されるため、糖不足に陥るとランニング中に正確な判断がしにくくなる。
そのため、三日前には積極的に炭水化物を摂取して、糖を蓄える必要がある。

まとめ

以上4つ。
1.エネルギーの生成原理
2.ランニングとウォーキング
3.練習方法
4.フルマラソンに向けた食事
これらが、今回の読んだ本のアウトプットだ。

1.エネルギーの生成原理はどうやら、高校生の生物の基礎知識らしい。
電気を専攻して高専卒業した自分には縁もゆかりもない内容。(笑)

こうやって知らない間に教養が付いていくのは、本当に本のいいところだなあと改めて感じた。


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