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そのふたつの光:Anizine

その日はお酒を飲み過ぎたようで、ふと気づくと道路の真ん中に寝てしまっていた。アスファルトの冷たさを頬に感じながら、チカラが抜けて動けない身体をよじる。AirPodsからは大音量で "Highway star" が聞こえている。

遠くに光が見えた。僕が横たわっている車線に向かってくるヘッドライト。おそらく時速90キロは出ているようだが、運転している人は街灯もない道路に真っ黒い服を着た男が寝ているとは夢にも思わないだろう。このままでは確実に轢かれてしまう。ほんの数十メートル先にふたつのライトが迫ったとき、僕はあることに気づいた。ここから先どうなったのかは有料にすればいいのではないか、「定期購読マガジンのメンバーだけがスッキリと気持ちのよい結末を知ればいいのではないか」と。

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Anizine

¥500 / 月

写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。