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住民票:Anizine

Twitterのspacesで話していたとき「住民票」の話になった。自分と同じ感覚を持った集団という意味で、それをエコーチェンバーと呼ぶ人もいる。「人がそう言っているのを聞いたから、自分もその言葉を使う」という場所に自分の住民票がないから、独自の言い方をしている。

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感覚が近いと思える人はそれほど多くないはず。たとえば映画が好きだという人同士でも、ハリウッド好きとゴダール崇拝者では話が合わないだろう。ハリウッド映画にさえたくさんの種類があるんだから。同じ監督の映画であっても、あれは好きだけどこれは嫌いというのがある。それがズレていた場合、国籍は同じだけど住民票は違っている。

だからといってキッチリ同じモノが好きな人同士が集まれば面白いかというとそうでもない。対話とは違いを楽しむモノだからで、それは発見を伴う。ポール・ハギスの『CRUSH』が好きな人と『グランド・ブダペスト・ホテル』と『ラヂオの時間』が好きな三人は、話が合うかもしれない。

同じ住民票を持っている人はどれくらいいるんだろうか。仲のいい友人と話していて、ある瞬間ドンピシャで同じことを言ってしまうことがあるが、そういうときは互いに似た思考経路を辿ってきたんだなとわかって楽しくなる。連想ゲームのルートが似ている。

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Anizine

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写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。