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スーパーのマグロ:博士の普通の愛情

金曜日の朝なので、どうでもいい話を書く。

さっき悪夢を見た。「文章の中で一番つまらないのが夢の話だ」という言葉があるけど、金曜日なのでお許しいただきたい。夢は脈絡のない無意識の結合なので飛躍が面白く感じられることもあるが、それは単なる本の落丁や乱丁のようにきわめて無価値なものだ。

夢の中で何かの集まりで薄暗い店にいるようだった。俺はいつものように写真を撮っていたが、そこにひとりの女性が近づいてきて、「あんた、さっきから私の友だちのAさんばかり撮ってるけど、本人が迷惑していると思う。好きなんじゃないの」と言うのだ。

俺はただその場の様子を撮っていただけで、言われた女性には何の執着もなかったので驚いた。他人の心の中を見透かしたようにお節介なことを指摘するこういう人がとても苦手だ。俺は人を撮る仕事をしているから、被写体になる人を選ぶときには「マグロの仲買人」のように確固とした基準がある。なぜその一言に極端に苛立ったのかと言えば、職業的な仲買人の目を侮辱されたと感じたからだろう。

俺が執拗に撮っていたというAさんには何の罪もない。親切を装って、俺とその人の間にありもしない感情を捏造する「週刊誌じみた卑しい思考回路の人」にうんざりしただけだ。俺は他人の恋愛に興味を持つことは一切ないし、ましてやそれがカメラを持つときの気持ちに影響したことは今までに一度もない。

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あとで冷静に考えると、彼女が、「自分は撮ってもらえなかったこと」に起因する嫉妬からの言葉だったのかもしれないとわかった。

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恋愛に関する、ごく普通の読み物です。

恋愛に関する、ごく普通の読み物です。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。