見出し画像

ケチャッピーな人々:Anizine

やらなくていいことをしない、言わなくていいことを言わない。

身も蓋もないですが、そういうことです。Facebookのリール、ショート動画などは勝手に表示されて暴力的に目に入ってくるのですが、そこで起きていることは、ウィリーしたバイクが転んだとか、スケボーで転んだ、みたいなことばかりです。それらを見ているとシンプルに「最初からやらなければいいのに」と思えてきます。こどもがする無邪気な失敗はまだいいのです。こどもだから。でも分別があるはずの大人が屋根から飛び降りようとしてずっこける、みたいなものは別に面白くない。

「おそらく屋根から落ちるんでしょ」

と想像できてしまうからです。結末がわかるものに人は惹かれません。かといって想像できないくらい派手な結末も必要としていないのです。世の中にあるあらゆる映像はどんどん短くなり、味付けが濃くなっています。その極北が「醤油差しペロペロくん」のようなもので、何か過激なことを期待されていると思ってしまうんでしょうね。ここに「感性デバイド」ともいうべき感受性の差が生まれています。

ここから先は

1,009字

Anizine

¥500 / 月

写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。