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一事が万事:Anizine

カウンターの客席で食事をしていた。席がアクリル板で仕切られているのだが、固定された椅子とそのスペースのセンターが合っていない。雑だなあ。隣に座った20代の男性が動くたびに俺の肘に当たる。彼は貧乏揺すりをし、長い髪をずっといじり、音を立ててガムを噛みながらスマホでゲームをしている。人を狭いところに押し込むと、こういった小さなストレスが場を殺伐とさせるのだ。

ある若い人が集まる場所で、何人かがちゃんとしたフレンチの店で食べてみたいと盛り上がっていた。するとひとりの男が「ああいう店って自由に振る舞えないだろ。堅苦しいんだよな」と言う。

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Anizine

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写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。