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ユカとマリエと母親:博士の普通の愛情

ユカちゃん、僕のファッション、どう思う。

シンジは友だちのユカに聞く。

お洒落ではないけど、ダサくもないかな。

うん。マリエに「ダサい」って言われた。

マリエが言ったんだね。

どうしたらいいと思う。

一緒に服を買いに行くといいよ。


数日経って、シンジはまたユカに聞く。

ユカちゃん、これでどうかな。

何が。

僕のファッション。

いいんじゃないの。

そっけないな。

うん。

彼女にアドバイスをもらいながら買ったから、これでいいと思うんだけど。

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シンジの母親が言う。

気分がよさそうね。

母さん、そうだろう。マリエが僕の服を選んでくれたんだ。

選んだのね。

うん。

お洒落に生きるって、いいことだと思うわ。

うん。ユカもマリエも、まったく同じことを言ってたよ。


シンジが街を歩いていると、高校の同級生であるコウイチと会った。隣には恋人らしき女性がいた。

おう、シンジ。元気か。

あ、あ、うん。ああ。

お前、相変わらずだな。最近、人と話してるか。

う、う、うん。彼女とか。

彼女いるのか。驚いた。まったく想像がつかないな。

こ、この服も、彼女が選んだんだ。

そうか。あ、こいつ俺の同級生でシンジっていうんだけど、ほとんど人と話さないやつでさ、ちょっと変わってるんだよ。

コウイチは昔から無神経ないじめっ子で、自分の彼女に面白おかしくシンジの説明をした。

シンジ、わかるか。お前の目の前に立っている俺は、同級生だったコウイチだぞ。そしてここにいるのは俺の恋人だ。わかるか。ほら、俺の腕の筋肉、触ってみろよ。ジムで鍛えてるからモリモリだろ。な。人間っていうのは肉体を持ってるんだよ。わかるか。

シンジはなぜコウイチがそんなことを言うのかわからなかったが、とにかく馬鹿にされていることだけは伝わった。

じゃあなシンジ。彼女と仲良くやれよ。バイバイ。

コウイチはシンジに手を振って、いなくなった。


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恋愛に関する、ごく普通の読み物です。

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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。